研究課題/領域番号 |
22592055
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
森本 景之 産業医科大学, 医学部, 准教授 (30335806)
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研究分担者 |
羽地 達次 徳島大学, 歯学部, 教授 (50156379)
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キーワード | PKR / 2本鎖RNA / 軟骨分化 / 間葉系幹細胞 / タンパク質相互作用 / BiFC法 |
研究概要 |
Double-stranded RNA-dependent protein kinase(PKR)は生体防御のみならず、細胞分化にも関与する可能性がある。本研究の目的はPKRによる骨・軟骨形成調節について、解明することである。23年度は以下の成果を得た。 1.軟骨細胞への分化能を持つ間葉系幹細胞ATDC細胞へPKR阻害剤を添加すると、軟骨基質の産生が減少し、軟骨分化が抑制される事を22年度に解明した。今年度はさらにこの軟骨分化調節にはOsterix,Sox-9の相反的発現が重要である事を明らかとした。これらの結果は現在、論文投稿しリバイス中である。 2.小腸吸収上皮細胞IEC-6細胞に発現したPKRは二本鎖RNAを検知し、小腸上皮細胞にアポトーシスを誘導すること、その誘導機序はカスパーゼ依存的であることを明らかとした。 これらの結果の一部は現在論文投稿中である。 3.PKRがNFkB経路の活性化に関与する可能性を示すために、IkBのSUMO化をBiFC法を用いて可視化する事に成功した。IkBのSUMO化は核内で生じ、特定アミノ酸残基に依存的な反応であった。これらの結果は学会発表し、現在論文作成中である。 以上に示すように、現在までに軟骨細胞と小腸上皮細胞の分化誘導や細胞内シグナル伝達機構とPKRとの相互関係を明らかとし、生体防御以外のPKRの役割の可能性を示す結果を得ている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
PKRが間葉系幹細胞の分化調節に関与する研究は、当初計画とおりに進展している。しかし、23年度に作成したウイルスライブラリーの性能が計画よりも悪く、その点に置いてやや遅れが生じている。そのため、全体としては、おおむね順調であると自己評価する。
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今後の研究の推進方策 |
上記のように、一部計画に遅れが生じている。今年度は、当該ウイルスライブラリーの性能を上げる方策を取る事により計画を遂行する予定である。その目的のためにウイルスの濃縮試薬および機器を調達済みである。 また、外部の研究者へアドバイスを求めることにより対策も進めている。
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