研究課題
Double-stranded RNA-dependent protein kinase(PKR)は生体防御のみならず、細胞分化にも関与する可能性がある。本研究の目的はPKRによる骨・軟骨形成調節について、解明することである。24年度は以下の成果を得た。1. 軟骨細胞への分化能を持つ間葉系幹細胞ATDC細胞へPKR阻害剤を添加すると、軟骨基質の産生が減少し、軟骨分化が抑制される。この軟骨分化調節にはOsterix, Sox-9の相反的発現が重要である事を明らかとし、PKRによる間葉系幹細胞の調節機序を明らかとした。これらの結果はCell & Tissue誌に発表した。2. 小腸吸収上皮細胞IEC-6細胞に発現したPKRは二本鎖RNAを検知し、小腸上皮細胞にアポトーシスを誘導すること、その誘導機序はカスパーゼ依存的であり、PKRの阻害によって抑制されることを明らかとした。これらの結果の一部は現在論文投稿中である。3. PKRが胃がん組織に発現することを見いだした。PKRの発現と細胞内局在は胃がんの種類と関連し、PKRによる分化調節が存在することが判った。この結果は学会にて発表した。4. PKRとNFkB経路の関連性を示すために、IkBのSUMO化をBiFC法を用いて可視化した。IkBのSUMO化は核内で生じ、チロシンリン酸化に依存であった。これらの結果は学会発表し、現在論文作成中である。以上に示すように、軟骨細胞、小腸上皮細胞や胃がんの分化誘導や細胞内シグナル伝達機構とPKRとの相互関係を明らかとし、生体防御以外のPKRの役割の可能性を示す結果を得ている。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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