研究課題/領域番号 |
22592059
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
篠田 壽 東北大学, 大学院・歯学研究科, 大学院非常勤講師 (80014025)
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研究分担者 |
五十嵐 薫 東北大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (70202851)
村上 忍 東北大学, 大学院・歯学研究科, 大学院非常勤講師 (40436093)
千葉 美麗 東北大学, 大学院・歯学研究科, 講師 (10236820)
鈴木 恵子 昭和大学, 歯学部, 講師 (50119187)
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キーワード | ビスホスホネート / 歯周病 / 骨形成 / 骨吸収 / NF-KB |
研究概要 |
歯周疾患治療薬としての[4-(methylthio)phenylthio]methanebisphosphonate(MPMBP)の動物実験での有効性の検討 (1)ビーグル犬4頭を用い実験的歯周炎に及ぼすMPMBPの効果について検討した。歯周炎の惹起は左右下顎第2、第3、第4小田歯の歯頸部のアンダーカット部位に手術用縫合糸を結紮することにより行った。手術用縫合糸を歯頸部に装着させる2週間前、1週間前、装着時、1週間後、および2週間後の計5回にわたり、20mMのMPMBPを下顎第2、第3、第4小臼歯の頬側および舌側の歯槽頂付近に局所注射し、薬物を歯周組織に浸潤させた。軟X線撮影、マイクロCT等を用い評価した結果、MPMBPは投与部位周辺部の歯槽骨骨密度を有意に増加させ、歯槽骨頂の低下を有意に抑制することが明らかになった。 (2)Wistar系ラット30匹を用い、MPMBPの上顎骨歯槽骨部への局所投与がどのような効果を及ぼすかについて検討した。た。20mMのMPMBPを上顎第一大臼歯の近心歯槽骨部に4日おき6回局所注射した。その結果、MPMBPの局所投与は、投与部位周辺の上顎骨の骨量、骨塩量、骨密度を有意に増加させた。また、実験期間中に形成された口蓋側の新生骨量は、実験側では対照側の1.6倍強に達することが明らかとなり、MPMBPがin vivoにおいて骨形成促進作用を持つことが示唆された。 以上のような動物実験の結果は、MBMBPの歯周病治療薬としての高い可能性を示唆しており、さらに、骨欠損の修復、インプラントの維持、骨折治癒の促進、骨再生等の領域においても有望な薬物であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
この薬物の分子作用機序の解明については、東日本大震災の影響が大きく、十分な進展が得られなかった面があるが、最終的に問題となるin vivoでの動物実験での結果はいずれもポジティブであった。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度、震災のため十分進めることができなかったMPMBPのin vitroでの作用機序についてさらに研究の進展をはかり、又、追加の動物実験を実施して、この薬物の骨形成促進作用について確認する。今年度は得られた結果をまとめ、成果を公表することにも重点を置く。
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