研究概要 |
【研究成果の具外的内容】ヒトにおけるストレスや情動と関連する「噛み締め」の神経科学的基盤を、機能的磁気共鳴断層撮影(fMRI)を用いて解明することが目的である。当該年度は噛み締め圧センサを開発し、fMRI装置内でセンサが機能すること、さらに、fMRI画像に影響が出ない磁気シールドの開発を行った。(1)噛み締め圧センサ作成:まず、岐阜大学において被験者の歯列模型に合わせて加工したリテナーを作製した。次に、リテナーの接触点に平板型圧センサー(Tekscan社製)をレジンを用いて固定した。アンプの出力をUSBケーブルでノートPCにてモニタした。軽い「噛み締め」と、食い縛りに近い強い「噛み締め」を、明瞭に区別して記録できた。(2)fMRI装置内での圧センサ機能:生理学研究所に圧センサとPCを持ち込み、3.0Tスキャナー(Siemens,MAGNETOM Allegra)撮像部位にて圧センサが機能し、前室のPCにて明瞭に圧をモニタできることを確認した。(3)fMRI撮像予備実験:ファントム上に圧センサを装着し、前室にて圧モニタ中に、fMRI撮像した。USBケーブル接続部位からのノイズが、画像に乗ることが判明した。(4)磁気シールド開発:圧モニタアンプのUSBケーブル接続部位に、銅箔を巻きつけて、ノイズをシールドした。 【意義】「噛み締め」圧を、fMRI計測中に、モニターすることが可能になった。ヒトの顔の表情に対する扁桃体活動の、「噛み締め」による制御機構を、科学的に検証できる。 【重要性】「噛み締め」によって、ストレスに対応することは、日常的に経験している。この現象の神経科学的基盤を明らかにする。
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