研究課題/領域番号 |
22592064
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
小橋 基 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (80161967)
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研究分担者 |
松尾 龍二 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30157268)
美藤 純弘 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (20240872)
藤田 雅子 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (40156881)
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キーワード | オレキシン / 嚥下 / 上喉頭神経 / SB334867 / オレキシンI受容体 / ラット |
研究概要 |
オレキシンは摂食中枢である視床下部外側野(LHA)で産生され、その含有線維は広く脳全体に投射する。オレキシンが作用するということは、摂食中枢の調節を受けるということを意味する。そこで、オレキシンの第四脳室投与による嚥下反射の頻度を検討した。顎舌骨筋から筋電図を導出することにより、上喉頭神経の電気刺激で惹起された反射性嚥下を記録した。頻度20Hzで20秒間持続する刺激により15回程度の嚥下反射が認められた。5分毎の刺激による嚥下反射の頻度が安定した後に、オレキシンAを第四脳室投与した。オレキシンAの投与により嚥下反射の著明な減少が認められた。この応答は投与したオレキシンAの用量に依存した減少が認められた。一方、オレキシンBの投与では嚥下反射に何ら変化は認められなかった。オレキシンAは、オレキシンI受容体とII受容体の両方に親和性をもつ。オレキシンBはII受容体のみに親和性をもつ。このことから、オレキシンAの作用はI受容体を回することが考えられる。オレキシンI受容体アンタゴニストであるSB334867の前投与でオレキシンAの作用は全く見られなかった。これらのことから、オレキシンAはI受容体を介して、嚥下を抑制的に調節していることが示唆された。次にオレキシンAを微小ガラス管を用いて嚥下中枢である延髄背側部の孤束周辺に微量投与し、嚥下反射の頻度を観察した。ところが、この部位への投与では嚥下反射の頻度に何ら変化は認められなかった。以前の我々の研究では、グレリンはこの部位に作用し嚥下反射を抑制した。オレキシンの場合、直接嚥下中枢に作用するのではなく、延髄の別の部位に作用して嚥下中枢にその情報が伝達されて、嚥下抑制が生じることが示唆された。また、LHAの刺激により、嚥下と密接な関連を持つ胃近位部の受入能の促進が認められ、この現象にオレキシンが関与することが示唆された。
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