研究概要 |
bHLH型転写因子Dec2の軟骨分化における役割を解明することを目的として、研究を進めている。これまでの研究結果から、軟骨分化に対してDec1は促進的に作用し、一方、Dec2は抑制的に作用することが分かってきた。そこで、Dec1,Dec2の転写制御メカニズムを明らかにするために以下の実験を行った。 まず最初に、Dec2とSox6およびSox9の相互作用について解析した。軟骨前駆細胞株であるATDC5を用いて免疫沈降法で解析したところ、Dec2はSox6と強く、Sox9とは弱く結合することを明らかにした。一方、Dec1はSox6,Sox9と結合しなかった。 次に、ルシフェラーゼアッセイを行い、II型コラーゲンおよびSox9遺伝子プ戸モーター活性に対するDec1,Dec2,Sox6,Sox9の影響について解析した。その結果、Sox9はII型コラーゲン遺伝子のプロモーター活性を促進したが、Sox6,Dec1,Dec2はII型コラーゲン遺伝子のプロモーター活性に影響しなかった。また、Sox9,Dec2はSox9遺伝子プロモーター活性を抑制した。しかし、Dec1はSox9遺伝子プロモーター活性に影響しなかった。さらに、Sox9遺伝子の上流領域を解析したところ、多数のSox応答配列が見つかった。これらの実験結果から、Dec2はSox9の発現を抑制することで軟骨分化に対して抑制的に働いていると考えられる。
|