研究概要 |
未分化な間葉系幹細胞(MSC)の制御を行う因子の候補として、9つの転写因子(SOX11, ETV1, ETV5, HMGA2, FOXP1, GATA6, KLF12, PRDM16, SIM2)を同定しているが、これらが他の幹細胞では、必ずしも高発現していないことが明らかになった。間様系幹細胞のソースとして、骨髄や脂肪組織などが知られているが、最近、歯髄組織がその分化能の高さから注目を集めている。そこで、DNAマイクロアレイを用いて線維芽細胞やその他の細胞と比べて歯髄細胞で発現の高い遺伝子の探索を行った。その結果、約200個の遺伝子が同定され、その中でもMSX1, MSX2, TBX2, SFRP1, TGFB2, PDE5A, ENTPD1が高発現していることが注目された。特にMSX1, MSX2, TBX2は、転写因子であり組織発生に重要であると考えられる。また、SFRP1, TGFB2, PDE5A, ENTPD1も分化や石灰化などで重要な因子であることが知られている。一方、レンチウイルスベクターを用いて既に同定済みの因子の中からSIM2を過剰発現したところ、HMGA2とFOXP1の発現上昇とGATA6の発現低下が見られた。一方、siRNA を用いたSIM2のノックダウンではその逆の動きが観察された。また、HMGA2の過剰発現では、SIM2の発現上昇とGATA6の発現低下が見られた。siRNAを用いたGATA6のノックダウンでは、ITGA10の発現上昇とITGA2, ITGA11, ITGB7の発現低下が認められ、GATA6の過剰発現では、ほぼ逆の現象が観察された。さらに、MSX1, MSX2, TBX2の過剰発現やノックダウンの影響を合わせて検討中である。
|