研究概要 |
今年度はHO-1の発現を誘導する化合物の破骨細胞分化に対する効果を重点的に調べることで鉄代謝酵素であるHO-1が破骨細胞分化にどのように関わっているか解析を行った。 ①コーヒーに含まれるジテルペン化合物KahweolはRANKLによるErkの活性化を強く抑制しNFATc1、Src、Cathepsin Kの発現と細胞外へのHMGB1の遊離を抑制し、破骨細胞形成と骨吸収を抑制した。Fumimoto R., Sakai E. et al. J Pharmacol Sci., 2012, 118(4), 479-486 に発表。 ②DeltamethrinはErkの活性化とNFATc1の発現を抑制し、破骨細胞形成と骨吸収を抑制した。Sakamoto H. Sakai E. et al. Toxicology in Vitro, 2012, 26, 817-822 に発表 ③食品添加物であるtBHQはNFATc1の発現とHMGB1の遊離を抑制し破骨細胞形成と骨吸収を抑制した。Yamaguchi Y. Sakai E. et al. J Appl Toxicol., 2013. in press. Doi: 10.1002/jat.2827に発表。 ④いちごポリフェノールであるフィセチンはHO-1の発現を促進し、細胞内ROS産生NFATc1の発現を抑え破骨細胞形成と骨吸収を抑制した。Sakai E. et al. J. Pharmacol. Sci., 2013, 121, 288-298に発表。 以上の結果は、HO-1の発現を誘導する化合物が非常に効果的に破骨細胞形成と骨吸収を抑制することを示している。本研究によって鉄代謝酵素であるHO-1の発現レベルが破骨細胞の分化を調節できることを示す多くの知見を得ることができ、鉄代謝と骨代謝との密接な関係を明らかにすることができた。
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