カルシウムチャンネルTRPV4はマウス破骨細胞の機能を促進し骨代謝に関与することから、骨破壊制御による骨量調整への応用を目的とし、カルシウムチャンネルによる細胞内カルシウムイオン供給機構の重要性について検討を進めている。 平成22年度は、TRPV4の活性型変異体を作製し、レトロウイルスシステムにより破骨細胞前駆細胞にて発現させた。分化誘導前から細胞内カルシウム濃度は野生型細胞に比較して変異体発現細胞で上昇し、さらに分化誘導後の細胞において骨吸収活性の増加が認められた。これらの結果より、カルシウムチャンネルにより調整される細胞内カルシウム濃度が破骨細胞機能に影響することが示唆された。 次にカルシウムチャンネルの活性化が生体内の骨量を調節し得るかを検討するため、破骨細胞特異的TRPV4活性型変異体トランスジェニックマウスを作製した。 TRPV4活性型変異体トランスジェニックマウスの骨量は、野生型マウスと比較して減少することがマイクロCTを用いたX線解析により確認された。一方、TRPV4の活性化調節については、細胞内カルシウム-カルモデュリン複合体がTRPV4分子内の応答領域に結合しカルシウム流入活性を促進する機構が報告されている。そこで、TRPV4活性型変異体のカルモデュリン結合領域を欠損させ、同様に破骨細胞特異的トランスジェニックマウスを作製した。現在これら変異体発現マウスの骨表現系、骨代謝マーカー等を解析している。
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