研究課題/領域番号 |
22592071
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
増山 律子 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (60297596)
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研究分担者 |
小守 壽文 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (00252677)
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キーワード | 破骨細胞 / カルシウムチャンネル / カルシウムシグナル / カルシウム / 骨代謝 / TRPV4 |
研究概要 |
破骨細胞機能における受容体型カルシウムチャンネルTRPV4の役割を調べるために、咋年度よりTRPV4活性型変異破骨細胞特異的レスキューマウスを作出解析を行なった。 まず始めにTRAPプロモーターによりTRPV4活性型変異体の発現を制御した破骨細胞特異的トランスジェニックマウスを作成し、TRPV4欠損マウスとの交配を重ね、破骨細胞でTRPV4活性型変異体を発現するマウスを作出した。野生型マウスおよびTRPV4欠損マウスと比較して、TRPV4変異体マウスでは骨吸収の亢進による骨量の減少を観察した。次にこのチャンネルの活性化調節領域としてカルモジュリン結合領域に注目し、TRPV4活性型変異体からこの領域を除いたトランスジェニックマウスを作成したところ、TRPV4活性型による破骨細胞の骨吸収亢進作用は消失し、TRPV4のカルシウムチャンネルとしての機能発現にカルモジュリン結合領域が必要であると示唆された。さらに、この領域と応答する細胞内分子が破骨細胞機能に関わる可能性を調べるために、HEK293細胞にTRPV4を発現させ、カルモジュリン結合領域に応答する分子についてプロテオーム解析による同定を試みたところ、非筋型ミオシン(Myosin IIa)重鎖(MYH9)が候補分子として見出された。そこで、破骨細胞での内在型MHY9とTRPV4との相互作用をTRPV4抗体を用いた免疫沈降の後にウェスタンブロット解析を行ない、野生型の破骨細胞でのMHY9-TRPV4タンパク相互作用を確認した。 これらの結果から、カルシウムシグナルは破骨細胞機能発現において重要な役割を担うこと既によく理解されているが、シグナルを起動させるカルシウム/カルモジュリン作用が再びカルシウムチャンネルにはたらきかけることが、さらなるカルシウムの細胞内への流入の契機となり、破骨細胞活性を維持させている可能性が挙げられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
作出した変異マウスでは予想通りの骨表現系を観察し、細胞の機能変化を個体レベルで再現することが出来た。またプロテオーム解析の情報をマウス組織より分離した細胞で確認し得たことで、注目している分子の細胞内での分子間相互作用の分子基盤が理解された。
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今後の研究の推進方策 |
培養細胞を用いて既に同定されたTRPV4応答分子が、細胞活動にいかに影響するかを詳細に検討する。特に破骨細胞を用いていることから、細胞が骨吸収の最中か、あるいは骨梁を移動しているのか、対象とするカルシウムチャンネルの機能が調整する細胞活動を調べる。
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