研究課題/領域番号 |
22592072
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研究機関 | 九州歯科大学 |
研究代表者 |
増田 渉 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (80295865)
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研究分担者 |
自見 英治郎 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (40276598)
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キーワード | IP_3受容体type2 / 細胞内局在 |
研究概要 |
唾液腺細胞内でイノシトール1,4,5三リン酸受容体(IP_3R)は管腔側に局在し、これを介した細胞内カルシウムイオン(Ca^<2+>)プールからのCa^<2+>動員は唾液分泌において必須である。しかし現在の所、「なぜIP_3Rが特異な細胞内局在を示すのか」という根本的な疑問に対する研究にまでは至っていない。我々はこれまでにIP_3R type2(IP_3R2)がDT40細胞内のある局所に集中局在することを発見した。そこで今回、我々は研究課題名を「IP_3R2の細胞内局在に関する分子メカニズムの解明」とし、DT40細胞をモデル系として、IP_3R2が小胞体に組み込まれた後、ある別の分子がIP_3R2特異的に結合し、IP_3R2をある特定の小胞体部位に集中局在させているとの仮説をたて、この分子の同定を試みた。まず、野生型IP_3R2を発現しているDT40細胞にのみ認められたIRAGの集中局在が、IRAGとIP_3R2との特異的結合によるものであることをより確実にするために、IP_3R2分子内におけるIRAG結合領域の同定を試みた。前年度と今年度の実験から、IRAG分子はIP_3R2分子内のN末端から3番目のサブユニット分子と結合すること、さらに、同定したサブユニット分子のC末端側より段階的に欠失させたさまざまな欠失変異体をクローニングし、同様の免疫沈降法を用いて、より小さな結合領域の探索を試みた結果、IP_3R2分子内の1541番目のバリンから1580番目のアルギニンに挟まれた40アミノ酸残基がIRAG分子との結合に重要である事が判明した。そこでこの領域を欠損させた変異型IP_3R2をクローニングし、変異型IP_3R2、IRAG、PKG1βをCOS-7細胞に共発現させ、変異型IP_3R2がIRAG/PKG1β複合体と複合体を形成しない事を確かめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
IP_3R2分子内の1541番目のバリンから1580番目のアルギニンに挟まれた40アミノ酸残基がIRAG分子との結合に重要である事が判明したが、さらにこの領域のどのアミノ酸が結合に重要かを調べるために、様々な点変異を加えた変異型IP_3R2をクローニングしたにも関わらず、結果的には同定にまでは至らなかった。このため実験が当初の予定よりもやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
野生型IP_3R2、IRAG、PKG1βを共発現させたDT40細胞からのカルバコール誘導性Ca^<2+>放出は、PKGアゴニストの存在下で有為に減弱させることを見いだしている。そこで同様のDT40細胞での共発現/Ca^<2+>放出系を用いて、野生型IP_3R2の代わりに、IRAGとの結合領域(1541V-1580R)を欠損させた変異型IP_3R2を共発現させることにより、カルバコール誘導性Ca^<2+>放出のPKGアゴニストによる減弱がキャンセルされるかどうかについて調べる。また、野生型IP_3R2、IRAG、PKG1βを共発現させたDT40細胞にのみ認められたIRAGの集中局在が、変異型IP_3R2を発現させることでどのように変化するのかを調べる。
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