研究課題/領域番号 |
22592074
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
荒川 俊哉 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (40306254)
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研究分担者 |
田隈 泰信 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (40095336)
設楽 彰子 北海道医療大学, 歯学部, 助教 (30508718)
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キーワード | 歯の移動 / 歯根吸収 / メカニカルストレス / 骨関連遺伝子 / ヒト歯根膜 / DNAチップ |
研究概要 |
歯根膜(歯周靱帯)は歯槽骨と歯根セメント質の間に存在する幅0.15-0.38mmの繊維性結合組織で、歯を顎骨に固定すると共に外力に対して歯の可動性を確保し緩衝作用を与えている。歯根膜は常に強い咬合力(メカニカルストレス)を受け活発な改造を繰り返しており、メカニカルストレスが歯根膜改造・再生における遺伝子発現に重要な役割を果たしているが、その詳細は明らかになっていない。そこで、歯根膜のメカニカルストレスによる遺伝子発現を解析し、歯根膜改造・再生の遺伝子発現によるメカニズムを解明することを目的とした。抜歯によって得られた歯より歯根膜を剥離し、歯根膜細胞を単離、培養後、低速遠心機により7G(gravity)で重力負荷を行った。2時間重力負荷後(5分間負荷、5分間停止を繰り返す)、total RNAを抽出し、重力非負荷の培養歯根膜細胞をコントロールとしてDNAマイクロアレイ解析を行った。また、抜歯した歯の歯根膜組織より直接total RNAを抽出し、同様にDNAマイクロアレイ解析を行った。その結果、メカニカルストレスによって発現の上昇した遺伝子群の解析を行ったところ、ID1(転写因子)、EGR1(転写因子)、SGK1(ストレス応答セリン/スレオニンキナーゼ)、DUSP1(ストレス応答非受容体型チロシンキナーゼ)などの強い発現上昇が見られた。これらの遺伝子群は培養歯根膜細胞では発現が弱く、歯根膜組織で発現が強く見られた遺伝子群の一部と一致していた。したがって、メカニカルストレスは歯根膜組織を改造・再生する遺伝子群を誘導し、歯根膜組織の改造・再生に重要な役割を果たしていることが示唆された。
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