研究課題/領域番号 |
22592074
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
荒川 俊哉 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (40306254)
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研究分担者 |
田隈 泰信 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (40095336)
設楽 彰子 北海道医療大学, 歯学部, 助教 (30508718)
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キーワード | 歯根膜 / メカニカルストレス / リゾホスファチジン酸 |
研究概要 |
歯根膜(歯周靱帯)は、歯と骨(歯槽骨)の間に存在する繊維性結合組織で、咬合力に対して緩衝作用を与え、歯科矯正治療の歯の移動時に可動性を確保し、メカニカルストレスによって活発な改造を繰り返している。リゾホスファチジン酸(LPA)は、近年第二世代の脂質メディエーターとして注目され、体毛形成や血管形成など様々な機能に関与していることが明らかになってきているが、歯根膜における機能やシグナルについては明らかになっていない。そこで、歯根膜におけるLPAシグナルを解明することを目的とした。ヒト抜去歯より得られた歯根膜組織を剥離し、歯根膜線維芽細胞を単離、培養後、LPA受容体群やLPA合成に関わる酵素遺伝子分群の発現をRT-PCR法により解析した。また、歯根膜細胞へのLPA添加およびメカニカルストレスの負荷(遠心機による重力負荷)を行い、誘導される遺伝子群のRT-PCRによる解析およびDNAマイクロアレイ解析により比較検討を行った。さらに、マウス歯胚におけるLPA受容体発現の変化を解析した。その結果、培養歯根膜細胞において、LPA1およびLPA6の強い発現が認められた。LPA合成酵素ではLyso-PLDの発現がみられたがPA.PLA1a(LIPH)の発現は見られなかった。また、LPA添加およびメカニカルストレスによって、ID1(転写因子)とEGR1(転写因子)の強い発現上昇が共に見られた。したがって、歯根膜ではLPA受容体および合成酵素が強く発現しており、LPA刺激やメカニカルストレスに対して遺伝子発現などの応答もあることから、LPAシグナルは歯根膜組織を改造・再生するシグナルとして重要な役割を果たしていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
LPAによる刺激とメカニカルストレスによる刺激で共通して発現増強が見られる遺伝子が同定され、また、メカニカルストレスによりLPA合成の律速酵素であるLyso-PLDのinductionが見られるなど、メカニカルストレスとLPAシグナルのクロストークが同定されつつある。従って、目的の一部は達成されつつあり、おおむね順調に進んでいると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、Lyso-PLDのinductionの詳細なメカニズムを解析すると共に、実際に細胞で合成されるLPAの同定をアイソトープやマス解析により行って行く予定である。また、メカニカルストレスの刺激によって即時にLPAが放出され、メカニカルストレスのメディエーターとして機能しているかどうかの解析も進めていく予定である。また、どのLPA受容体が主に機能しているかの解析を進める予定である。
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