研究課題
RNAi医薬を実現するためには、よいsiRNA配列(高い遺伝子発現抑制活性、低い非特異反応)の選択とsiRNAの標的臓器/細胞への効率よいデリバリー法の開発が必要である。研究代表者は癌原性ウイルスであるヒトパピローマウイルス16型の癌遺伝子に対してこの条件を満たすsiRNA配列を同定し、この配列が治療に応用できる可能性を報告した。本研究では、レポーター遺伝子を導入した単層培養と、この3次元培養の疾患モデルを作成した。本年度は、扁平上皮内深部へ核酸導入を達成するために、elastic liposomeを作成し、その効果を検討した(連携研究者:星薬科大学米谷芳枝博士、服部喜之博士)。これはリポゾームに可塑剤を組み合わせて扁平上皮の細胞間隙を通過して深部に到達させるものである。単層培養での効果を確認後、EGFPマウスの皮膚にEGFPに対するsiRNAをelasic liposomeを用いて導入したところ、表皮内でのEGFPの発現低下が観察された。同時にβアクチンの発現低下も見られたため、細胞毒性がある事が判明した。今後、3次元培養法とEGFPマウスを用いてelastic liposomeの毒性の緩和と、siRNAの特異性(配列特異的切断)について検討を行なっていく予定である。
2: おおむね順調に進展している
新しい扁平上皮へのデリバリー法の解析が進んでいる。
現在用いているデリバリー法の改善が難しい場合は、既存の膜貫通性ペプチドによるデリバリー法を検討に加えていきたい。
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J Virol
巻: 86 ページ: 3276-3283
DOI:10.1128/JVI.06450-11
Cancer Gene Ther
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DOI:10.1038/cgt.2011.28