研究課題
本年度は、ヒト腎がん細胞株T24を用い、siRNAによるFEN1遺伝子の抑制の実験から以下のような結果を得た。(1) 細胞が突起を伸ばした老化様の形態を示した。このとき、SA-β-galactosidaseの活性が上昇していた。(2) 細胞老化関連の遺伝子としては、p21の上昇、リン酸化型p38の減少が認められた。(3) ATMおよびChk2のリン酸化が認められ、DNA損傷応答が示唆された。(4) ヒストンH2AXのリン酸化が認められ、クロマチンの変化が示唆された。以上のことから、siRNAによってFEN1遺伝子を抑制した際のT24細胞において細胞老化が起こっていることが示唆された。さらに、FEN1抗体・テロメアDNAのプローブを用いたChip Assay、FEN1抗体・TRF1抗体による蛍光免疫染色により、FEN1タンパク質がテロメアに結合していることが確認され、FEN1はテロメア近傍でも機能していることが推測された。また、γH2AX抗体・テロメアDNAのプローブを用いたChip Assay、γH2AX抗体・TRF1抗体による蛍光免疫染色により、H2AXのリン酸化がテロメアでも起こっていることを確認した。よって、FEN1遺伝子抑制によりテロメアが不安定化し、それによって細胞老化が起こっているのではないかいうことが示唆された。
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