研究課題/領域番号 |
22592091
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
榮田 智 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (80325662)
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研究分担者 |
中村 卓 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30172406)
佛坂 由可 長崎大学, 長崎大学病院, 講師 (10244089)
角 忠輝 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (80284701)
角 美佐 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (90284702)
佐々木 美穂 長崎大学, 長崎大学病院, 助教 (10437874)
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キーワード | hypoxia / MRI / ADC / 細胞浮腫 / 細胞壊死 |
研究概要 |
腫瘍細胞の増殖とそれに伴って起こるべき血管新生との間のアンバランスによって生じた低酸素領域(hypoxic area)は、腫瘍の悪性度や遠隔器官への転移を助長し、このため患者の予後を大きく左右しかねない要素だとされる。本研究では、いわゆるmetabolic hypoxiaとよばれる現象に伴って生じるATP生産の変動による、ATP代謝の変化をMRスペクトロスコピーにて、さらにhypoxiaに伴う細胞自体の変化を拡散強調MR画像にて解析することで悪性腫瘍内部のhypoxic areaを早期にかつ正確に捉えるシステムを確立することを目的としている。腫瘍内部のhypoxic areaを探知するにあたり、hypoxic areaで生じるATP代謝異常と細胞膜の変化に注目している。本年度は、細胞膜におこる変化のうち膜の脱分極ならびに細胞浮腫について拡散強調MR画像にて解析、画像化することを試みた。 研究の結果、(1)細胞浮腫;浮腫を起こさせた細胞には著明なsize upが認められた。またADCは、細胞浮腫:control=0.644±0.022:0.732±0.028(X10^<-3>mm^2/S)で有意差が認められた。この結果は、細胞浮腫をおこすと、細胞内の水分子が増加し、さらに細胞膜の電位の変化で細胞膜周辺にトラップされる水分子の量が増加するため、hypoxic areaではADCが低下するとした予想を裏付けるものである。 (2)細胞壊死;hypoxiaが進んで細胞壊死を起こす。壊死を起こさせた細胞では、cells viabillityの低下とともにADCの上昇が認められた。この結果から、細胞壊死で起こる細胞膜の破裂がADCに影響を与えるものと推測される。 次年度も悪性腫瘍内部のhypoxic areaを早期にかつ正確に捉えるシステムの確立を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
課題の中途採択により初年度の研究期間が十分ではなかったため、やや遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究で使用していたMR装置に不都合が生じた。これ以上のデータ収集はできない可能性があるが、これまでに蓄積したデータを解析することで課題は推進できると考える。
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