研究課題
口腔内は絶えず微生物の侵入にさらされており、それら微生物に対する感染防御には、自然免疫が重要な役割を担っている。その中でも抗菌性ペプチドLL37は、抗菌活性だけでなく免疫機能を調節する働きがあることが知られている。今回、歯周病原細菌であるPorphyromonas gingivalis(Pg)のDNA(bDNA)にLL37が安定的に結合し、bDNAに対して5倍量以上のLL37と混合し作用させることでDNaseIに対して抵抗性を発揮した。また、10%FCS中においても、細菌由来のDNAの分解を抑制することがわかった。これら効果は、RNAにおいても同様に認められた。また、生理的塩濃度下においてもこれら効果は認められることから、生体中で安定化させ、より長期にわたって免疫機能に作用を及ぼす可能性が考えられた。さらに、唾液中に存在するapolipoproteinA-1とも相互作用することが分かり、LL37が多様な分子と相互作用することで、種々の疾患の病態形成へも関与している可能性が考えられた。また、これら複合体やLL37、細菌由来のDNAが歯肉上皮細胞へ与える影響を評価した。まず、歯肉上皮細胞(Ca9-22)のDNAレセプターであるTLR9の発現を確認したところ、mRNAレベル、蛋白レベルで発現していることを確認した。ケモカイン、炎症性サイトカインの発現を幅広く検索したところ、LL37で処理した際にCXCL10のmRNAの発現の増強傾向が見られたが、蛋白レベルでの確認には至っていない。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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