研究概要 |
今年度は、腫瘍細胞でない肥満細胞株NCL-2(広島大学より分譲された細胞 特許第3876314号)の培養方法を確立しているところである。まずはNCL-2細胞が培養環境で十分に増殖できるような条件を探してきたが、試行錯誤の末、血清と細胞播種密度、培養容器を変更することにより、次年度からの実験に耐えうるような細胞数を確保することができた。すなわち、血清はHyClone社(USA)のDefine Fetal Bovine Serum(Cat# SH30070.03E, Lot# ATF32349)を使用、播種密度は10*5個から10*6個に増量、培養容器は直径6cmシャーレから75ml Tフラスコに変更し、細胞を増殖させることに成功した。 3・5・10μmの3次元孔を持つHoneycomb film(HCF)上で、NCL-2細胞を培養し生育状況を観察した。肥満細胞はガラスとの接触によって壊れやすく、HCFを押さえるガラスリングでNCL-2細胞の2~3割が壊れた可能性があった。そこで、ガラスリングの影響を避けるために、HCFの基盤を強くして、溶液中でHCFを押さえなくても浮かないようなHCFを作製し(PET film支持体のポリスチレン製HCF)、実験を進めるところである。 また、NCL-2細胞から分泌されたヒスタミン量は、Control(wellに直接播種)に比べて、Cover glass、Flat film(孔のないHCF)、3・5・10μmのHCF上で培養した上清中のヒスタミン量に変化がなかった。
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