ポリエチレンテレフタレート(PET)film 支持体のポリスチレン製 Honey Comb Film(HCF)を足場にした、3・5・10 micro m の3次元孔を持つPET-HCF上で、NCL-2 細胞(腫瘍細胞でない肥満細胞株)を培養した結果、下記の知見が得られた。 1)PET-HCF上で1週間培養したところ、NCL-2細胞の増殖は、①Flat filmに比較しHCF上では、total 細胞数が有意に増加し、10 micro m HCFにおいて最も増加した。②3および5 micro m HCF上では浮遊細胞が主に増加し、10 micro m HCF上では接着細胞が主に増加した。これは、10 micro m より孔径が小さいNCL-2細胞は、10 micro m HCFにおいては、NCL-2細胞は孔の中に入り込み、接着細胞としてカウントされるためと思われる。 2)PET-HCF上で1週間培養したところ、NCL-2細胞の大きさは、5 micro m HCF上では細胞径が一番大きく、10 micro m HCF上では細胞径が一番小さかった。 3)SEMと共焦点レーザー顕微鏡による観察では、多くのNCL-2細胞が、①3および5 micro m HCF上で、数個に細胞分裂し、抗vinculin抗体(接着因子)と抗Phalloidin抗体(アクチン)が細胞質で陽性であった。しかし中には、陰性の細胞も観察された。②10 micro m HCF上では、細胞は孔の中で小さく分裂している様子が観察された。 4)SEMと共焦点レーザー顕微鏡による観察では、一部のNCL-2細胞が、①3および5 micro m HCF上で、HCFを巻き込むように数十の核に分かれ、細胞分裂を伴わない核分裂(多核細胞)の様相を呈した。個々の核はHCFの構造を反映するように孔の中に入り込んでいた。
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