研究概要 |
Mucosa-associated lymphoid tissue 1(MALT1)の発現停止が口腔癌細胞の表現型にどのような影響を与え、癌の進展を促進させるかを知るため、MALT1を恒常的に発現する口腔癌細胞(_<MALT1>HSC2)を樹立した。_<MALT1>HSC2細胞で発現量が変化するタンパク質を質量分析法で解析したところ、10種類のタンパク質が同定され、そのうちの4種類はケラチン(K5,K14,K8,K18)であった。母細胞(HSC2)に比較して、_<MALT1>HSC2ではK8とK18が増加し、K5とK14が減少していた。Short interfering RNAとドミナントネガティブ型MALT1 cDNAの一過性導入により、同様の結果が得られたことから、これらのケラチンの発現変化はMALT1依存性であることが確認された。また、ケラチン分子種の変化は細胞増殖能と密接な関連持つことから、xCELLigenceシステムを用いたリアルタイム解析およびMTTを用いたエンドポイントアッセイを行ったところ、HSC2細胞に比較して、_<MALT1>HSC2は著しく増殖能を低下させた(Kawamoto et al.,投稿準備中)。 次に、_<MALT1>HSC2細胞の可溶性画分から、免疫沈降-質量分析法により9種類のMALT1結合タンパク質を同定した。それらの多くは核タンパクや癌関連タンパクであり、MALT1との結合により、分子活性が制御される可能性がある。現在、MALT1とこれらのタンパクとの結合様式を共焦点レーザー顕微鏡およびマルチプレートリーダーを用いたFRAT解析で確認中である。 PCR-SSCPによる解析を行った結果、日本人においてはMALT1遺伝子に8種類の一塩基多型が存在し、そのうちの2種類はエキソン内にあり、アミノ酸の置換を生じる多型もみられた(Oyama et al.投稿中)。
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