研究概要 |
頸部腫瘤性病変に対する超音波像の定性的診断所見が意図する内容を画素構築像としてパターン化された定量値で置き換える手法を考案することができた。形状の複雑度を対数化した独自の算出式から得られた健常な組織構築像の定性的所見(均一, 不均一, 粗雑, 繊細など)を示す指標を特徴量として数値化することができた。 これらの数値を腫瘤像の各様態所見(辺縁、内部、境界周辺部)の表記用語を分別集約し、定性的用語に対する指標特徴量との関係を見いだした。頻用される定性的用語が健常組織で使用される場合と病変組織で使用される場合で定性所見用語に対する特徴量の関係の違いを比較した。同一の定性用語では健常組織で使用される場合には評価する対象域の大小に関わらず特徴量の標準偏差が非常に小さかった。一方、病変組織で使用される場合には対象域の増大とともに、特徴量の標準偏差も増大した。病変の大きさが視覚認識に大きな影響を与えることが確認された。頸部腫瘤性病変に対する超音波像の定性的診断所見が意図する内容を画素構築像としてパターン化された定量値で置き換える手法を考案することができた。形状の複雑度を対数化した独自の算出式から得られた健常な組織構築像の定性的所見(均一, 不均一, 粗雑, 繊細など)を示す指標を数値化することができた。これを追認するためにMRI, CTなどの医用画像で使用される所見と照合して、定性的に認識されて使用される診断用語に共通する画素構築像の特異値を導きだすことができた。 この特徴量を健常臓器に対する画像所見の共通したコンセンサスを示す数値として決定することによって、画像診断医の読像経験の深浅によるパターン認識の違いや個人的な認識の偏りを数値化することが可能となった。
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