研究概要 |
H24年度は、各種1ステップ接着システムの微小引張り接着強さを再測定し、またその前の23年度から引き続き行っていた臨床的スミア層溶解能の透過型電子顕微鏡(TEM)による観察を行った。さらに、予定より少し遅れたものの、100,000回のサーマルサイクリング(TC)負荷試験を開始しH25年6月に終了予定であるので、H25年度に負荷後試料の微小引張り接着試験とTEM観察を行う予定である。 1.接着強さの再測定 TC試験は当初岡山大学で行う予定であったが、本学の設備で行うこととしたため、試料の形態を変える必要性が生じた。そのため、その形態に合わせたコントロールの接着強さを再測定した。ヒト抜去健全大臼歯歯冠部を水平に切断後、2種の臨床的スミア層を産生するためダイヤモンドポイント(レギュラー)および耐水研磨紙(#2000)を用いて可及的平坦な被着象牙質面を得た。この面に対し、Clearfil Tri-S Bond(S3), Hybrid Coat II(HC), BeautiBond(BB), Bond Force(BF), Absolute2(AB),あるいはG-Bond Plusの接着システムを用いて処理し、通法に従って微小引張り試験を行ったが、試料の形態はダンベル型ではなくスティック(ビーム)型とした。その結果、前年度とほぼ同様の値が得られた。 2.TEM観察 スミア層の溶解能を検討するためにH22年度に表面をSEM観察した試料を用い、H23年度から継続して行っていたTEM観察の結果、ABではレギュラー、#2000によらず、スミア層は脱灰され、コラーゲン線維網と思われる像が観察されたが、そのほかのシステムではレギュラー研削面のほうがスミア層が残存している像が観察された。
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