研究課題/領域番号 |
22592110
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小林 洋子(岩松洋子) 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (50261524)
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研究分担者 |
西原 大輔 東北大学, 歯学研究科(研究院), 大学院非常勤講師 (10431587)
市川 博之 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (20193435)
小松 正志 東北大学, 歯学研究科(研究院), 大学院非常勤講師 (10005069)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 歯学 / 生体材料 / 再生医学 / 細胞・組織 / 歯根修復 |
研究概要 |
高齢者にみられる根面う蝕や歯根破折は天然歯の保存を難しくしている一要因である。現在、これらに対して主として歯冠修復に用いられる接着性レジンによる修復処置がなされているが、この方法だと天然歯根にみられる歯根膜組織の回復までに至っていない。本研究では、新たな歯根修復材料として、ヒト歯根膜由来培養細胞あるいはヒト智歯歯胚から得られた間葉系幹細胞を用いて、バイオマテリアルとハイブリッド化することで、歯根膜組織を有する新たな歯根修復用バイオハイブリッド型材料開発を目的としている。 今年度は、前年度までに確立された間葉系幹細胞のマーカーの一つであるSTRO-1陽性細胞を効率的に得る方法を用いた。生体材料として、前年度からシャーピー線維と同程度の直径20μmの貫通孔を有する試作チタンメッシュに着目し、その上での細胞の付着ならびに分化について検討した。さらに、そのチタンの表面処理としてblast処理について検討した。コントロールとして、市販の直径100μmのチタンメッシュ(Frios Bone Shield)を用いて比較検討した。 Friosでは、細胞は貫通孔に落ち込むようにわずかに付着していたのみであったが、試作チタンメッシュでは貫通孔に付着するだけでなく、貫通孔のないチタン表面を覆うように多数付着しているのが観察された。さらに、チタン表面にblast処理を施すことによって、細胞の付着が促進されることがわかった。細胞接着分子であるフィブロネクチンの分布も、細胞の付着部位に応じて広範囲にみられた。さらに、細胞の分化度について免疫組織化学的に調べたところ、チタンメッシュ上でオステオポンチンが培養2週間後からすでに発現していることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成23年3月11日に発生した東日本大震災の被害を受け、実験実施場所である東北大学内の実験室のある建物が6日間立ち入り禁止となった上、約2週間停電となった。そして、かなりの実験設備が損壊し、培養中であった細胞が全滅したり、実験に用いていた試薬が使用不可能となったりしたため、研究に大きな支障を来した。 その後、震災復興支援等により、実験設備は修理あるいは購入してかなり使用可能となり、試薬等もだいぶ揃えることが出来てきた。培養細胞を用いた実験も以前のように確立されつつある。
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今後の研究の推進方策 |
震災復興支援等により、かなりの実験系が再び確立されつつある。また、新たな生体材料としてのチタンメッシュの応用が、歯根修復に役立つ可能性が出てきた。今後は培養系における細胞分化に関する研究をさらに進めるとともに、動物実験に着手していきたいと考えている。
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