研究課題/領域番号 |
22592111
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
遠藤 達雄 東北大学, 病院, 講師 (20168826)
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研究分担者 |
笹崎 弘己 東北大学, 病院, 講師 (90133991)
小松 正志 東北大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (10005069)
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キーワード | コンポジットレジン / 重合阻害 / 接着強さ / ボンディングシステム / 不活性ガス / アルゴンガス |
研究概要 |
[目的]コンポジットレジン修復に用いられるボンディングシステムの多くは、酸素による重合阻害を受けるため、この影響を排除することにより、短期的な接着性能のみならず、長期的な接着耐久性を向上できる可能性がある。今回の研究目的はこうした酸素による重合阻害を受けているボンディングシステムの接着がどのような影響を受けているかを調べることを目的とする。 [実験方法]1.種々のボンディングシステムの酸素による重合阻害の程度を調べるためにガラス板間に封入して円板状としたレジンモノマーを大気中およびアルゴンガスを用いた不活性ガス雰囲気中で重合させる。大気中重合後の円板状レジンポリマー外周部分は外気に接しているために、酸素による重合阻害により未重合部分層が残存する。この未重合部分層の厚みを測定し、アルゴンガス雰囲気中での結果と比較する。 2.大気中もしくは不活性ガス雰囲気中で抜去歯象牙質表面に、コンポジットレジンを重合阻害の程度が異なる3種のボンディングシステムを介して接着させ、24時間後および5年経過後の引っ張り接着強さを測定する。 [結果]大気中で重合させたボンディングシステムの酸素による重合阻害層の厚みは、アルゴンガス雰囲気中で重合させることにより、有意に減少した。一方、接着強さはアルゴンガス雰囲気中で重合させることにより24時間後および5年後のいずれでも有意に向上していた。このことによりボンディングシステムの重合特性の改善が、接着の質と耐久性の向上に有効であることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大気中で接着・重合させた試験群と不活性ガス中で接着・重合させた試験群の5年後の比較を行い、ボンディングシステムの重合特性の改善が、短期的な効果にとどまらず、長期的にも有効であることが示された。
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今後の研究の推進方策 |
不活性ガス中でレジンを接着・重合させた試験群において修復物と窩壁適合性に改善が認められるかどうかについて検討し、窩壁適合性と接着強さの関連性についても検討する。
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