研究課題/領域番号 |
22592116
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
二階堂 徹 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (00251538)
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キーワード | ナノリーケージ / acid-base resistant zone / 象牙質の接着 / 機能性モノマー / 接着界面 |
研究概要 |
象牙質接着界面のう蝕抵抗性は、修復物の二次う蝕を抑制し、修復物の寿命を向上させる上で重要である。これまでの接着界面のう蝕抵抗性についての研究から、樹脂含浸層直下にう蝕抵抗層としてのAcid-baseResistantZone(以下ABRZと略記)の存在を報告してきた。本研究の目的は、5種類の接着システムにおけるARBZの形成とナノリーケージとの関係について透過電子顕微鏡(TEM)観察を行い、その形態学的な関連性について解明することである。ヒト抜去大臼歯の歯冠部象牙質に対してボンディング操作を行って接着試料を完成させた。試料は1日水中保管後に半折し、エポキシ樹脂包埋後、接着界面を露出させ、アンモニア性硝酸銀に1日保管した後、現像処理を行った。さらに接着界面に対して酸-塩基処理を施し、超薄切してTEM観察を行った。TEM画像上で各接着システムにおける樹脂含浸層、ABRZの厚み、Nanoleakageの割合を画像解析ソフトを用いて解析した。その結果、樹脂含浸層の厚みは、2ステップシステムがオールインワンシステムに比べて有意に厚く、オールインワンシステムの中では有意差はなかった。一方、ABRZの厚み、樹脂含浸層とABRZにおけるナノリーケージの出現率は、材料により違いが見られ、ABRZの厚みとナノリーケージの出現率との間に何らかの関連性が示唆された。オールインワンシステムにおいてはABRZ直下に漏斗状欠損の形成が認められたが、2ステップシステムには認められなかった。これらの所見は、象牙質接着耐久性や二次う蝕の抑制効果に大きな影響を及ぼす可能性が示唆される。また、ABRZとナノリーケージとの形態学的な関連性を明らかにすることは、象牙質接着界面の劣化機構の解明の一助となり、接着耐久性とう蝕抵抗性に優れた新たな材料の開発につながると期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
すでにABRZとナノリーケージとの関係について5種類の接着システムについてTEM観察を行い、接着材料による違いについて明らかにしている。
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今後の研究の推進方策 |
ABRZの厚みとナノリーケージの発現率との関連性、ならびにその直下に形成される漏斗状欠損について検討し、ABRZの形成メカニズムを解析する。
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