研究課題/領域番号 |
22592119
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
吉羽 永子 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (10323974)
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研究分担者 |
吉羽 邦彦 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (30220718)
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キーワード | fibrillin-1 / fibrillin-2 / fibrillin-3 / α-SMA / TGF-β / human dental pulp / wound healing |
研究概要 |
細胞外基質であるfibrillin-1は、結合組織の構成を担っているだけではなく、形質転換成長因子transforming growth factor β(TGF-β)シグナルを制御していることが近年明らかになっている。TGF-βは、細胞分化と細胞外基質の分泌に必須な因子であり、fibrillin-1の分解によりこれに結合していたTGF-βの放出・活性の機序がin vitroにおいて示されている。本研究の目的は、ヒト歯髄組織の創傷治癒/硬組織形成過程で展開される細胞分化・細胞外基質・石灰化について、fibrillins特にfibrillin-1の関与を追究し、歯髄組織の修復および再生・新生への関与を解明することにある。 1)Fibrillin-1,2さらにfibrillin-3は、健全な歯髄組織内で豊富に存在するが、それらのアイソフォームはそれぞれ異なる局在を示していた。 2)創傷治癒過程において、その局在が消失するのはfibrillin-1のみであり、fibrillin-2,3についてはその局在性に変化が認められなかった。 3)その消失部において、α-SMA陽性線維芽細胞が一過性に認められた。このα-SMA陽性線維芽細胞細胞は、分化と共に細胞骨格の1つで歯髄では象牙芽細胞に強く発現が認められるnestinを共発現していた。 4)Fibrillin-1消失部位においてアルカリフォスファターゼの陽性反応が観察された。 5)歯髄組織片の器官培養において、培養3日にはα-SMA陽性線維芽細胞とpSmadの共発現が認められ、fibriuin-1の分解とmRNAの下方制御も認められた。βグリセロフォスフェイト添加培養下では、fibrillin-1タンパクの消失とアルカリフォスファターゼ陽性反応を伴う石灰化が認められた。創傷治癒過程初期においては、fibrillin-1の分解がTGF-βの遊離・活性化、及び基質の石灰化に寄与している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新たな抗体が出ているため
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今後の研究の推進方策 |
(1)Fibrillin-1の分解とmRNAの下方制御について、細胞分化との関連においてさらに追求する必要がある。 (2)歯髄組織では、fibrillin-1,-2,-3は異なる局在を示すことから、機能も異なる可能性がある。 従ってマウスを用い、発生期におけるそれらの分布を調べる必要がある。
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