研究課題/領域番号 |
22592121
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
菅 俊行 徳島大学, 病院, 講師 (60243713)
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研究分担者 |
高橋 加奈子 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (80403715)
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キーワード | フッ素 / フッ化ジアミンシリケート / フッ化ジアンミン銀 / 抗菌成分 / 象牙細管 / 齲蝕 / 齲蝕予防 / スメア層 |
研究概要 |
象牙質齲蝕の予防には象牙質表面の脱灰を抑制するとともに、齲蝕関連細菌の象牙細管内への侵入を阻止することが重要である。我々は、現在臨床で使用されているフッ化ジアンミン銀(サホライド)の歯質着色の問題を解決するため、銀成分をシリカに置換したフッ化ジアミンシリケートを調製した。銀は優れた抗菌作用を有していることから、フッ化ジアミンシリケートの抗菌作用はフッ化ジアンミン銀に比べて劣ることが予想される。そこで本研究では抗菌作用を高める目的で、フッ化ジアミンシリケート溶液に各種抗菌成分(クロルヘキシジン、塩化セチルピリジニウム、イソプロピルメチルフェノール、カテキン)を添加し、抗菌成分添加フッ化ジアミンシリケート溶液がどの程度、象牙質中へと浸透して、象牙細管を封鎖するのか評価した。ヒト抜去歯より象牙質プレートを調製し、スメア層で覆われた象牙質プレートとEDTAで2分間処理を行い、象牙細管を開口させた二種類の象牙質プレートを作成した。そして、各種抗菌成分添加フッ化ジアミンシリケート溶液を塗布し、走査型電子顕微鏡で象牙質プレートの表面および割断面の観察を行った。その結果、4種類の抗菌成分を添加した場合には無添加の場合と同様に、象牙細管を結晶性物質で緊密に封鎖していた。EDTAで処理した場合には象牙質表面から約15ミクロンの深部まで象牙細管を封鎖していた。一方、スメア層で被覆されている象牙質に塗布した場合には結晶析出深度が約3ミクロンと有意に低い値となったが、スメア層を溶解して、象牙細管内に結晶が析出しており、抗菌成分含有結晶で象牙質を被覆し、かつある程度の深度まで結晶を析出させることが明らかとなった。本研究の結果、各種抗菌成分添加フッ化ジアミンシリケート溶液は象牙質へと浸透し、被覆、封鎖したことから、齲蝕予防剤として臨床応用できる可能性が示唆された。
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