エビデンスに基づいた臨床研究を行うにあたって、口腔内の状況を記録するための口腔内写真撮影・記録は必須であり、より良い臨床論文を作成するためには高品質な口腔内写真の画像データの蓄積によって成り立っていると考えてもよい。しかし患者の個人情報への関心が高まっている現在、事前に患者に十分に撮影の必要性や撮影部位について説明をおこなっても、口腔内撮影用の大きな照明装置が付属している1眼レフ型のカメラで口腔内を撮影する場合、患者は自身の口腔内の何を撮影されているのか不安となり、撮影に対する抵抗感が生まれ、患者から口腔内写真の撮影を拒否されることも考えられる。デジタルカメラで撮影した場合、患者から同意を得るために、患者に撮影した写真をデジタルカメラ付属のモニター画面で確認してもらうことは可能であるが、表示される画面が小さいため、確認することが困難で、特に視力の低下している高齢者には不親切な状況となっている。 今回、臨床で広く応用されている口腔内CCDカメラの撮影画素数を向上させるとともに、その画像データを高品質で記録できる記録装置を開発することにより、患者に説明するために撮影した画像を、患者の同意の下、高画質で記録できる環境を整え、先進医療や医療技術評価のための臨床論文作成が容易になると考える。 22年度は臨床で広く応用されている口腔内CCDカメラの撮影画素数を向上させるとともに、その画像データを高品質で記録できる記録装置を開発し、研究分担者である長崎大学・大学病院久保至誠准教授と実際口腔内撮影を行い、応用可能であるか検討した。 またその際、画像データが大容量になること、また高画質で画像データを記録するために高性能のビデオキャプチャーを介しpcに保存する記録装置を製作した。
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