研究概要 |
口腔環境は加齢変化により免疫的に脆弱となっている。そのため、口腔内の常在性細菌、真菌の感染によって、口内炎が生じやすい環境となっている。口内炎をいったん発症させてしまうと痛みや出血のため、含嗽や歯磨きが困難となるために口腔の衛生管理が不良になり、常在菌のみばかりでなく、感染性細菌や真菌増殖が進行して、口内炎の重症化を引き起こす。その結果、摂食不良となり、脱水、栄養状態不良が進行し、口腔粘膜炎も増悪すると考えられている。口内炎を予防、あるいは治癒をすすめるためにはこの悪循環を断ち切る必要がある。近年栄養摂取と創傷治癒に関してアミノ酸のグルタミンやアルギニンの関与後明らかにされており。口内炎の発症や修復には同様のメカニズムが作用すると推測される、アミノ酸であるグルタミンの吸収には小腸の絨毛上皮の作用が重要であり、さらに絨毛上皮の活動度は小腸絨毛上皮中のジアミンオキシダーゼ(DAO)活性と関連があり、この活性は血中のDAO活性と関連があることが近年明らかにされている。これらより、口内炎患者の血中DAO活性を測定することで、口内炎とグルタミンの関連性について明らかにできると考えられ検討した。DAO活性は研究的検査であり、臨床で検査を行うことは困難であり、安定した結果を得ることができなかった。現在DAO活性の臨床での測定について検討を行っている。一方移植免疫の研究から術前に組織内の除菌を抗菌薬を用いて行うことで、局所炎症をコントロールことができるという新知見も得られた。そこで、抗菌薬を用いて事前除菌を行った症例において、口内炎が頻発する症例である、化学療法症例において、口内炎の発症や炎症性サイトカイン( IL-1α, IL-6, IL-8, TNF-α)およびDNA酸化損傷マーカーである8-OHdG測定を行い、口内炎との関連を検討する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
口内炎患者と健常者の検体にて、口腔粘膜炎の発症程度測定のため血清中ジアミンオキシダ-ゼ(DAO)活性測定を予定していたが、臨床検体として安定的に取り扱うことが困難であった。そこで(DAO)活性測定にかわり炎症性サイトカイン(IL-1α,IL-6,IL-8,TNF-α)およびDNA酸化損傷マ-カ-である8-hydroxy-2’-deoxyguanosine(8-OHdG)測定を行い、口内炎との関連を検討する。
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