研究概要 |
重度骨吸収患者へのインプラント治療のための骨増生と荷重負荷の相関を解明するために以下の動物実験および有限要素解析を行った。 18ヵ月齢,体重10kgの雌性ビーグル犬6頭の下顎左右前臼歯部にそれぞれ3本のインプラントを埋入し、荷重負荷装置を用いて,3本のうち1本を荷重なし(0N),残りの2本に10Nまたは50Nの2種類の側方荷重負荷を3週間行った.また,骨ブロックのCT撮影を行い, 得られたデータから,FEMモデルを作成した.10N群におけるひずみ量は200μεであり,Frostの理論における骨量増加を起こす領域に相当する値よりはやや低い値であるが,組織学的には感染所見はなく,骨接触状態も良好で,チタン表面に新生骨の直接接触が認められ,蛍光染色ではインプラントネック部から先端に向かって広い範囲で骨形成がみられた.さらに,骨接触率および骨密度は0N群と比較して有意に高い値となった 有限要素解析の条件は以下の通り。インプラント:直径4mm,長さ16mm E=108GPa n=0.28 (チタン合金)補填材:充填量‐空隙部分に高さ10mm E=0.69, 1.6, 5.5, 9.5GPa n=0.4 節点数11354 要素数47073 結果として、充填材のヤング率が増加すると,充填材中の応力は増大し,周辺骨の応力は減少すること、骨補填材のヤング率が増加すると骨周辺の応力は減少することが明らかとなった。また、ひずみエネルギー密度の集中はインプラント周辺に存在し,集中領域の形状は再生骨の形状に類似していることが明らかとなり、ひずみエネルギー密度によるインプラント周辺での骨再生状態の予測の可能性が示唆された。また、骨補填材の存在は,インプラント周辺での骨吸収の危険性を低減すし、インプラントに安定性をもたらすこと、さらにインプラント周辺で骨再生を促進する可能性が示唆された
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