研究概要 |
本研究は,咬合感覚異常の発症メカニズムを解明することを目的とし,"咬合接触頻度の増大が咬合感覚を鋭敏化させる"という仮説を立て,本仮説を検証するために,咬合接触頻度を増大させる睡眠時と覚醒時のパラファンクションである睡眠時ブラキシズム(Sleep Bruxism; SB)ならびに日中歯牙接触習癖(Tooth Contacting Habit; TCH)の有無と咬合感覚との関連性を明らかにする。 今年度は,27名の健常被験者に対し,問診(質問票),臨床的診断,携帯型EMG記録システム(一部被験者は睡眠ポリソムノグラフ)およびTCH測定システムによりSBとTCHの有無により1(SB+,TCH+),2(SB+,TCH-),3(SB-,TCH+),4(SB-,TCH-)の合計4グループに分類し,各グループの咬合感覚(歯根膜の判別閾)の測定を行った.各グループの被験者数は,グループ1が13名,グループ2が8名,グループ3が1名およびグループ4が5名となり,SB-のグループ3の被験者数が現段階で十分な確保ができていない.それぞれのグループの歯根膜の判別閾の平均値は,グループ1が24ミクロン,グループ2が22ミクロン,グループ4が26ミクロンとなった.我々の過去の研究でSB+の被験者は,歯根膜の判別閾がSB-の被験者に比べ有意に小さいことが分かっているが,現段階ではSB-の被験者が少ないことから,今後グループ3中心に被験者数を増やし検討する必要があるとともに,SBの判定基準についても再検討する予定である.
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