研究概要 |
多因子性の疾患である顎関節症において,その発症や増悪に関わる要因の一つであるストレスは,時に治療を困難にすることがある.しかしながら,顎関節症患者におけるストレスの状態を客観的に評価する方法は,未だ確立されていない.近年,様々な分野で,心拍変動や加速度脈波の周波数解析に基づく自律神経機能を指標としたストレス評価が応用されつつある.この方法は,心電図のRR間隔あるいは加速度脈波のaa間隔をスペクトル変換し,高周波成分および低周波成分の比率から,交感神経ならびに副交感神経の活動を求め,ストレスの程度を定量的に評価するものである. そこで本研究では,自律神経機能を指標としたストレス評価法の確立を目的として,ホルター心電図を用いた日常生活における心拍変動および,加速度脈波測定装置を用いた来院毎の指尖加速度脈波の変動解析から,顎関節症患者の自律神経機能の特性を明らかにするとともに,顎関節症の各種臨床症状や心理テスト,治療効果との関連を解析することで,顎関節症のストレス評価における自律神経機能測定の有効性を多角的に検討すること計画した.研究初年度である平成22年度は,顎関節症患者ならびに正常者から被験者を募集し,心拍変動,指尖加速度脈波,主観的ストレス等のデータ採取を予定していたが,現在,正常者3名から心拍変動と指尖加速度脈波のデータを採取してデータ解析を行い,データの採取法,分析法および妥当性について検討を行っている.特に,ホルター心電計を用いた24時間心拍変動の解析では,ノイズの処理などで苦慮している.
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