研究課題
本研究の目的は、m/miマウスをモデル動物として用いて非咬合状態が咀嚼筋のアセチルコリン受容体(AChR)クラスター形成に及ぼす影響を明らかにすることである。本年度はAChRクラスターの3次元立体構築のための実験条件を確立し、AChRクラスターの成熟度の指標としてクラスター当たりの断片数の分布の変化を測定しmi/miマウスと野生型マウスを比較した。1、4、12週齢のmi/miおよび野生型マウスを安楽死させ、咬筋を摘出し迅速に凍結した。クリオスタソトをもちいて筋標本のほぼ中央部付近で厚さ25μmの凍結切片を作成した。cy2、FITCなどの蛍光色素で標識したブンガロトキシンでAC脈クラスターを染色した。共焦点レーザー顕微鏡を用いて0.5μmの厚さで断層組織染色像を採集し、三次元立体構築用ソフトウエアを用いてAChRクラスターの三次元画像を得た。この三次元画像を用いてクラスター当たり断片数の分布の変化を測定した。1週齢の咬筋の1つのクラスターに含まれる断片数は、野生型で最大2、mi/miで最大3であったが、断片化していないクラスターが多く観察された。両系統マウスで、断片数の分布に大きな差は認められなかった。4週齢の咬筋の1つのクラスターに含まれる断片数は、野生型で最大4、mi/miで最大8でクラスターの断片数の分布に大きな差が見られた。12週齢の咬筋の1つのクラスターに含まれる断片数は、野生型で最大5に対し、mi/miで最大12で、クラスターの断片数の分布に大きな差が見られた。コントロールとして用いた腓腹筋では、すべての週齢で両系統マウスの間で断片数の分布に大きな差は見られなかった。以上の結果から、咬合状態の変化はAChRクラスターの成熟に大きな影響を与えることが示唆された。
3: やや遅れている
本年度の交付申請書ではAChRクラスター形成および神経支配におよぼす非咬合状態の影響を明らかにする予定であった。しかし、AChRクラスター形成におよぼす非咬合状態の影響はほぼ明らかにできたと思われるが、神経支配に及ぼす影響は予備実験を開始しただけなので(3)やや遅れているという自己評価になった.
本年度でAChRクラスター形成におよぼす非咬合状態の影響はほぼ明らかにできたと思われる.今後はクラスターの体積、表面積などの解析をさらにすすめ、AChRクラスター形成を調節しているメカニズムについて研究を進める予定である。
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