研究概要 |
【目的】microRNA(miRNA, miR)は、20から25塩基の一本鎖RNAで、遺伝子の発現を調節する機能を有するnon-coding RNAの一種である。miRNAは様々な組織、器官の発生調節に関与していることが報告されており、骨格筋の発生調節にはmiR-1,24,133,181,206,208などが関与していることがすでに知られている。本年度は老齢マウスの解析を開始する準備段階として、マウス胎仔の舌発生過程におけるmiRNAの発現変化を解析した。 【材料・方法】胎齢11、12、13、14、15日のマウス胎仔から舌と摘出し、miRNAを抽出した。次に、それぞれのmiRNAに特異的なプライマーを結合させ逆転写を行った。逆転写後、それぞれのmiRNAに特異的なフォアードプライマーと、逆転写で付加した人工的な配列に特異的なリバースプライマーを用いてReal-time PCRを行い、目的の成熟miRNAの発現量を測定した。 【結果と考察】Real-Time PCR法を用いた発現解析によりmiR-1、24は胎齢が進むにつれ発現量が増加し、舌筋細胞の分化が活発に進行している胎齢13~15日には大量に発現していた。逆に、miR-199a3p、199a5pの発現量は胎齢11日では最も高く、その後、胎齢が進むにつれて減少した。miR-133aの発現量は胎齢11~13日に増加した後、減少した。 miR-181aの発現量は胎齢11~15日において大きな変化は観察されなかった。以上の結果からmiR-1、24が舌筋細胞の分化調節に関与している可能性が示唆された。 現在、老齢ラットを用いて舌、咬筋、腓腹筋の性質の加齢変化を明らかにする研究を開始している。
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