研究課題
昨年度はReal-TimePCR法を用いた発現解析によりmiR-1が野生型マウスの咬筋の生後発達過程において増加していくことを示した。この結果はmiR-1がマウス咬筋の生後発達に何らかの役割を果たしていることを示唆している。この結果をふまえ本年度は、発生・発育過程において舌、咀嚼筋に特異的に発現しているmiRNA、特にmiR-1の筋組織内での分布を明らかにする以下の実験を行った胎齢12、13、14、15日のマウス胎仔より舌を摘出し、4%パラフォルムアルデヒドかプアンで固定した。Whole mount miRNA in situ hybridization法を用いて、摘出した舌全体におけるmiR-1の分布を解析した。舌標本のほぼ中央付近の凍結切片し、miRNA in situ hybridization法を用いて、筋線維内のmiR-1の分布を解析した。以上の実験から、miR-1は舌筋線維内に分布しており、舌筋の発生に伴い染色強度が上昇していることが示された。くわえて老化にともなう舌、咀嚼筋の性質の変化を明らかにするために以下の実験を行った3、6、12、24ヶ月齢の野生型ラットを安楽死させ咬筋、オトガイ舌筋、オトガイ舌骨筋を摘出しRNA、蛋白質を分離した。老化に伴う筋特性変化を明らかにするためにSDS-PAGE、Real-time PCR法を用いて、これらの筋におけるミオシン重鎖の発現を解析した。しかし、ミオシン重鎖の蛋白質、mRNAの発現において加齢に伴う顕著な変化は観察されなかった。
3: やや遅れている
in situ hybridization法を用いて咬筋の生後発達過程におけるmiR-1の筋線維内分布を明らかにする予定であった。しかし、胎仔の発達過程における分布は解析できたが、生後発達過程における解析はできなかった。これは試薬の筋組織内への浸透性など技術的な問題によると思われる。
骨格筋の本研究の最終的な目的は、miRNAの機能を促進または抑制する薬物を探求し、咀嚼筋の再生療法、筋萎縮を防止する薬物やサプリメントを開発するための基礎的なデータを得ることである。しかし、研究の達成度がやや遅れているため、今後はin situ hybridizationにより老化に伴うmiRNAの組織内分布およびAntisenseを用いてmiRNAの機能抑制のための実験条件の確立することを主眼として研究を遂行する。
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