研究概要 |
顎顔面補綴治療に用いる人工物は,その大きさ故に骨再生のニーズは高く,今後は細胞を用いた安全で確実な骨再生医療が望まれている。再生医療においては再生組織をあらかじめ工業的に大量生産して,必要時にいつでも利用可能にするには,培養系を用いたin vitro組織再生が望ましい.すなわち,イヌでの細胞移植研究を通じ,そのin vivoでの機能性を解析し,喪失した顎骨組織の再生治療の基盤を確立することが本申請の目的である. レトロウイルスベクターにイヌOCT3/4,SOX2,KLF4,c-MYC遺伝子をそれぞれクローニングした発現ベクターを作製した.イヌの胎児の皮膚組織から酵素法により線維芽細胞を単離した.そして同細胞にレトロウイルスと化学阻害剤を加え,感染7日後に,マウス胎児線維芽細胞をフィーダー細胞として再播種した.21日後に単離できたコロニーを回収した.コロニーをフィーダー細胞に播種しコンフレントになったiPS細胞をSB431542,Nogginを含む無血清培養下で2週間培養した.p75,HNK-1の表面抗原を指標としてファックスセルソーターにて神経堤細胞を分離した.分離後の細胞は免疫染色にて評価した.さらに同細胞を骨芽細胞誘導培地で14日間培養し,アルカリフォスファターゼ(ALP)活性を測定した. 免疫染色の結果,イヌiPS細胞より神経堤細胞への誘導が確認された.さらに非誘導群に比較してALP活性の上昇が認められたことから骨芽細胞様細胞に分化している可能性が示唆された.
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