研究概要 |
研究者はオールセラミッククラウンのコーピングを特別な機器や複模型を使用せずに,短時間で容易に製作可能な焼成陶材法を開発し,臨床応用の可能性を報告した.一方で,強度については従来のコーピングより低く,改善する必要が明らかとなった.そこで,混和する練和用アルミナ粉末の微粒子の粒径を変化させ,アルミナ粉末の配合比とコーピングの強度について検討し,コーピング強度の向上を試みた これまでの研究で,コーピング製作において最も強度の大きかった試料は,スリップ内での粗粒子アルミナ粉末と微粒子アルミナ粉末の混合比が7:3の比率に近づいていると推察された 今回、コーピング製作時の振り掛け用粉末を練和用粉末と同様に,粗粒子アルミナ粉末,微粒子アルミナ粉末およびリチウム珪酸ガラスを混合したものを用いて研究を行った.粗粒子アルミナ粉末、微粒子アルミナ粉末およびリチウム珪酸ガラスの混合比の条件は,粗粒子の割合の多い70:20:10,60:30:10,50:40:10の3条件とした.各々のガラス含浸焼成後試料(10×2×0.5mm)において3点曲げ強さを計測した.計測条件は支点間距離8mm,クロスヘッドスピード毎分1mmで負荷を掛けた 混合比50:40:10では約198MPaとなり強度の改善は得られなかった.混合比60:30:10では約220MPaであった.混合比70:20:10では約236MPaとなり3条件の内で最も大きな値を示し,強度の改善が認められ,大きな強度を得るための粗粒子と微粒子の混合比は7:3に近い条件であることが明らかとなった.しかし,既存の製作方法と比較すると強度は小さく,さらに検討が必要と考える
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