研究課題/領域番号 |
22592177
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
小松 久憲 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 准教授 (30002182)
|
研究分担者 |
奥山 克史 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (00322818)
|
キーワード | フッ素含有歯科材料 / う蝕発生と進行 / PIGE/PIXE / カリエスリスク / pHサイクル / う蝕抑制効果 |
研究概要 |
患者個人のカリエスリスクによって材料によるう蝕抑制効果に相違があることが予測されることから、対象患者を特定した新しい製品の開発が期待できる。 本研究では、自動pHサイクル装置を用いて人工う蝕を作製し、う蝕の進行に伴う歯質へのフッ素(F)およびストロンチウム(Sr)の移行をPIGE/PIXE装置を用い調べ、さらに、材料中のFやSrの動態を検討し、カリエスリスク高低に対し有効にう蝕抑制効果を発揮する材料の開発指針の確立を目指してきた。 本年度は以下の結果を得た。 1)材料充填後1年以上経過すると、う蝕抑制効果が低下することが前年度の結果より判明していたが、高崎量子応用研究所にあるマイクロPIGE/PIXE装置を用いて、歯質中へのフッ素取り込み量を測定したところ、取り込み量が充填直後よりも有意に減少しており、材料から溶出するフッ素量が経時的に減少することによるものと確認できた。 2)前年度同様に材料からう蝕歯質へのSrの移行量を検討し、フッ素含有材料間に相違があることを確認した。 3)若狭湾エネルギー研究センターに設置されているPIGE/PIXE装置を利用して、歯質へのフッ素移行量を測定予定であったが、装置の補修が完了せず、測定は実施できなかった。 4)日常的に使用されているフッ化物含有歯磨剤と小中学校でう蝕予防を目的に実施されているフッ素洗口に関するう蝕抑制効果の基礎データを、自動pHサイクル装置を用いて、収集した。今後、これらのデータと各種フッ素含有材料のう蝕抑制効果を比較し、各材料の有用性を検討できる状況になった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
カリエスリスク別う蝕抑制効果の検討に関しては論文掲載され、フッ素含有材料と歯質の作用時間によるう蝕抑制効果の変化では、フッ素溶出量との関連性を確認でき、フッ素含有材料のう蝕抑制効果に与える要因をある程度把握できたことは研究目的の達成度は高いと考える。ストロンチウムとう蝕抑制効果との関連性の検討、さらにう蝕歯質中フッ素量と再石灰化度の関連性の解析に関しては十分な考察ができる段階には達していない。
|
今後の研究の推進方策 |
自動pHサイクル装置を用いて人工齲蝕を作製し、フッ素含有材料のう蝕抑制効果を評価しているが、使用するヒト抜去歯自身のう蝕感受性による影響が避けられず、特にう蝕抑制効果の低い材料の評価が一定しない場合がある。そのため、再現性のある対照群の設定を検討する必要があり、人工歯質を作製し、ヒト抜去歯のう蝕感受性の補正を試みることにした。
|