研究課題/領域番号 |
22592181
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
川口 知子 岐阜大学, 医学部附属病院, 医員 (30509815)
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研究分担者 |
柴田 敏之 岐阜大学, 医学系研究科, 教授 (50226172)
牧田 浩樹 岐阜大学, 医学部附属病院, 講師 (50345790)
畠山 大二郎 岐阜大学, 医学系研究科, 助教 (60377653)
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キーワード | 歯学 / 組織幹細胞 / 歯髄 |
研究概要 |
我々は、種々の形成段階にあるヒト智歯より歯髄組織幹細胞(Dental Pulp Stem Cell : DPSC)を樹立・保有し、個体差の検証を行って来ている。その結果、より未熟な形成期の歯髄から得られるDPSCは高い増殖能・分化能を持つが、継代培養により喪失すること、また、DPSCは、低酸素(3%)、低密度で培養することでコロニー形成能・増殖能が増強することを明らかにし、今まで樹立が困難であった高齢者からのDPSCの樹立効率を向上させた。そこで、本研究では、我々が保有する豊富なDPSCを用いて、より安全なDPSCを得るために動物由来の物質・因子をつかわないアニマルフリーでのDPSCの樹立法を確立することで、再生医療に活用可能な医療資源の開拓を目指す。 これまで我々が樹立したヒトDPSCは、10%ウシ血清が含まれている培地を用いてきた。そのためウシ血清由来のプリオンや外来性微生物による汚染の可能性が否定できない。そこで、保有するヒト智歯由来DPSC(歯冠完成期、歯根完成期)を用い、培地等の培養条件を変えて通常(10%ウシ血清)・アニマルフリー培養を行い、増殖能・分化能を比較した。また、動物由来の物質・因子よる増殖能・分化能等を比較するため、継代(P)4において通常(10%ウシ血清)とアニマルフリー培養の違いを比較し、動物由来の物質・因子の影響を検証した。 これらの検討により、アニマルフリーがヒト智歯由来DPSCの増殖や分化に与える影響を明らかにし、効率良くDPSCを回収する至適条件を見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
通常培養(10%ウシ血清)に比べて、アニマルフリー培養での初代細胞培養に際し、有効な条件を見つけるのに予想した以上に時間がかかったため。
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今後の研究の推進方策 |
・臨床応用にむけたヒト智歯由来DPSCの安全性の確立(従来との比較) ・アニマルフリーで樹立されたヒト智歯由来DPSCからのiPS細胞誘導と性状解析 について検討し、再生医療(臨床)に向け、毒性、感染リスクが低減されたより安全なヒトDPSCの樹立法の確立を目指す。また、ヒト智歯由来DPSCは高い増殖能を持ち、iPS細胞誘導に適していることが示唆されていることより、豊富に有するラインの優位性を活用し、個体差の検証を行う。
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