研究分担者 |
田仲 持郎 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (40171764)
西川 悟郎 岡山大学, 岡山大学病院, 講師 (00172635)
丸尾 幸憲 岡山大学, 岡山大学病院, 講師 (60314697)
玉田 宣之 岡山大学, 岡山大学病院, 医員 (90509499)
斎藤 隆司 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (40265070)
|
研究概要 |
骨形成タンパク質(BMP)は強力な骨・象牙質形成誘導活性を示すサイトカインとして各分野でその臨床応用が注目されている.われわれがナノテクノロジーを利用して開発した球状ナノアパタイト配合グラスアイオノマーセメントの機能にBMPの強力な生物活性を付与することにより,1)修復象牙質形成能(高いBMP徐放性),2)脱灰象牙質再石灰化能(高いフッ素徐放性),3)高い物性4)高い粛質接着性を有する多機能型ウ蝕治療材料を開発することを当該研究の目的とした. 本年度では,ナノシリカをグラスアイオノマーセメントに配合することによる曲げ強さの向上を目的とし,以下の実験を試みた.グラスアイオノマーセメントにはFuji Ionomer Type II(GC,Japan,粉液比=2.7)を用い,シラン処理したナノシリカとしては2種類の異なる径のもの(16nm, Aerosil R972, Nippon Aerosil Co)と(103nm,SC4500-SMJ, Admatechs)を用いた,グラスアイオノマーセメントの粉末に上記の2種類のナノシリカを,4種類の割合(0,0,5,1.0および2.0wt%)で混入し(計8条件),練和後.曲げ測定用試料を作製,37℃水中に24時間浸漬後3点曲げ強さ試験を行った.その結果,Aerosil R972(1.0wt%混入)の条件時,コントロールと比較しては有意に曲げ強さは向上したが,他の条件は(0.5と2.0wt%のAerosil R972, 0.5, 1.0および2.0wt%のSC4500)はコントロールと比較して有意に向上しなかった.まとめると,シラン処理を行ったナノシリカの混入によってグラスアイオノマーセメントの曲げ強さは上昇することが示され,本年度の目的が達成できた.しかし,グラスアイオノマーセメントにBMP配合による象牙質活性誘導能の実験は24年度の検討課題である.
|