研究課題/領域番号 |
22592208
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
小林 正治 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (80195792)
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研究分担者 |
泉 直也 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (10361908)
小島 拓 新潟大学, 医歯学系, 助教 (90515777)
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キーワード | PCR / 発症メカニズム / 下顎骨延長 / ラット実験モデル |
研究概要 |
1目的】下顎後退症患者に対する下顎骨前方移動術後に、著明な後戻り傾向を示す症例があるが、その原因の一つとして下顎頭の著しい吸収像を特徴とするProgyessive condylar resorption (PCR)が挙げられる。PCRには、下顎頭部にかかる力学的負荷と負荷に対する骨の許容力が関与していると考えられる。本研究の目的は、ラット下顎骨延長モデルを用いて、顎関節への力学的負荷によって生じる下顎頭の形態学的ならびに組織学的変化を明らかにすることである。 【方法】10週齢のウィスター系雄性ラットを用いて、麻酔下に右側下顎骨体部で骨切りを行い、同部に骨延長装置を装着した。12時間につき0.175mmを1日2回、10日間かけて3.5mm延長したのち、延長終了後1日目の群、7日目の群にわけて骨切りを行わなかった対象群と比較した。ラットは4%パラホルムアルデヒド溶液で灌流固定し、マイクロCT撮影後に顎関節部を一塊として標本とした。脱灰後、パラフィンに包埋し、切片を作製してHE染色、酒石酸抵抗性酸性フォスファターゼ(TRAP)染色、アルカリフォスファターゼ(ALP)染色を行った。 【結果】「マイクロCTにおいて延長側の下顎頭には吸収性の形態変化が認められ、特に延長終了後7日目の群において下顎頭前方部の変化が著しかった。HE染色では、延長側において下顎頭軟骨層の厚みの減少、軟骨細胞層の乱れ、軟骨直下の骨髄腔の拡大が認められた。また、マイクロCTにおいて著明な形態変化が認められた下顎頭前方部では強いTRAP陽性を示す破骨細胞が多数存在していた。一方、非延長側の下顎頭は対象群とほぼ同じ形態と組織像を呈していた。 【結論】ラット下顎骨延長モデルでは、下顎骨延長による顎関節への力学的負荷の影響により、下顎頭前方部の骨吸収と下顎頭軟骨の形成異常をもたらすことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験計画で予想していたように、ラット下顎骨延長モデルでは下顎骨延長による顎関節への力学的負荷の影響により、下顎頭前方部の骨吸収と下顎頭軟骨の形成異常をもたらすことを明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
現在、骨密度の低下した骨粗しょう症モデルラットを用いて下顎骨延長術を行い、PCR発症モデルとしての有用性を検討している。PCR発症モデルが確立したところで、PTH間歇投与法のような骨形成促進法を用いたPCR発症の予防法を検討していく。
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