研究概要 |
近年、DNAメチル化異常が発がん過程で見いだされ、更にヒストン修飾異常がDNAメチル化異常と関連し、がんの発生や進展に重要な役割を果たしていることが明らかにされつつある。ヒストンメチル化修飾は、転写の不活性化への関与が示唆されているが、口腔発癌においては詳細な機構は未だ不明のままである。そこで本研究では、口腔癌動物モデルとして頻用されている4-ニトロキノリン1-オキサイド誘発ラット舌発癌モデルを用いてヒストンメチル化修飾の関与とその機構について解析し、口腔発癌モデルとしての有用性を検証することを目的とし、本研究によりepigeneticな異常の修復(遺伝子の再活性化など)を動物モデルで確認する事により、動物実験モデルを用いた口腔発癌抑制物質の開発につながるものと考えられる。 平成22~23年度に8週間20ppmの4-NQOの飲水投与後に、5,10,20,32週後に犠牲死した6週齢F344ラットの舌組織(非処置群を含め54検体)から採取した検体より連続切片を作製し、H・E染色により病理組織学的な分類を行った。現在は、病理組織別に舌組織から抽出したタンパク質をwestern blotting法により分析し、ヒストンH3のトリメチル化(H3K4me3)レベルの測定を行っている。。これらにより、腫瘍組織と正常組織におけるヒストンメチル化レベルを対比・比較することにより、発癌過程におけるヒストンメチル化の推移について評価し、4NQO誘発ラット舌癌モデルでの発癌過程におけるヒストン修飾の関与について検討する。
|