研究課題
【目的】口腔常在菌として存在するカンジダ菌が病原性を獲得する機序については十分に明らかにされていない。そこで、カンジダ菌の遺伝子型と病原性との関連の有無を検討した。【対象および方法】口腔カンジダ症患者の口腔内より分離したカンジダ菌101株を対象とし、CHROMagarにてC.albicans、C.tropicalisおよびC.kruseiを同定し、それ以外のコロニーについては、血液寒天培地およびAPI 20C AUX培地を用いて菌種を同定した(Phenotyping)。これらとともに一方では、カンジダ菌よりDNAを抽出し、DiversiLabシステムにてRep-PCR解析を行なうとともに、一部の菌では25S rRNAのPCRあるいはrDNAのITS1-5.8S-ITS2領域のシークエンスを行いました(Genotyping)。さらには、各カンジダ菌に対するAMPH-B、FLCZおよびITCZのMICを測定した。【結果】(1)カンジダ菌のPhenotypeは、C.albicansが59株(58.4%)、C.glabrataが26株(25.7%)、C.tropicalisが8株(8.0%)、C.parapsilopsisが4株(4.0%)、C.kruseiが2株(2.0%)、C.guiliemondiiが2株(2.0%)であった。(2)Genotypingの結果、PhenotypingによりC.albicansと判定されたものの中にC.dubliniensisが存在することが明らかとなった。(3)Rep-PCR解析(カットオフ値:95%)にて、C.albicans(54株)およびC.glabrata(26株)のGennotypeはいずれの菌も6グループに分類された。(4)C.albicansおよびC.glabrataいずれの菌においても、GenotypeとAMPH-B、FLCZおよびITCZのMICとの間に関連は認められなかった。【まとめ】口腔カンジダ菌において、PhenotypingによりC.albicansと判定されたものの中にC.dubliniensisが存在することが明らかとなった。c.albicansおよびc.glabrataずれの菌においても、Genotypeと抗真菌剤に対する感受性との間に関連は認められなかった。