研究課題/領域番号 |
22592217
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
尾崎 登喜雄 高知大学, 名誉教授 (70031995)
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研究分担者 |
山本 哲也 高知大学, 教育研究部・医療学系, 教授 (00200824)
杉原 一正 鹿児島大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (00117516)
北村 直也 高知大学, 教育研究部・医療学系, 助教 (70351921)
森下 慶子 高知大学, 教育研究部・医療学系, 助教 (10527584)
上川 善昭 鹿児島大学, 歯学部, 臨床講師 (30332901)
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キーワード | カンジダ / 病原因子 |
研究概要 |
【目的】口腔常在菌として存在するカンジダが口腔内において病原性を獲得する機序を明らかにすべく、カンジダの遺伝子型と病原性との関連を検討するとともにその病原性に及ぼす唾液の影響を検討した。 【材料および方法】口腔カンジダ症患者の口腔内より分離したCandida albicans (C.albicans)の遺伝子型をRep-PCR法にて解析するとともに、カンジダの増殖能、上皮への付着能、プロテアーゼ/ホスホリパーゼ産生能、SAP活性、菌糸形成に関与する遺伝子の発現、抗真菌剤に対する感受性を測定し、両者間の関連を検討した。さらに、これらの病原性に及ぼす健常人および口腔カンジダ症患者の唾液の影響を検討した。 【結果】分離されたC.albicansは、Rep-PCR解析のカットオフ値を95%に設定すると6グループに分けることができた。C.albicansの増殖能および上皮細胞への付着能はグループ間に違いは認められなかった。さらに、SAP2、EFG1、CPH1、HWP1、TUP1、NRG1およびRFG1のmRNA発現レベルにおいてもグループ間に違いはなく、アムホテリシンBおよびイトラコナゾールに対する感受性もグループ間に差は認められなかった。これらとともに、C.albicansの増殖能および上皮細胞への付着能は唾液により抑剃され、その抑制の程度は口腔カンジダ症患者の唾液によるものが健常人の唾液によるものより強かった。しかし、カンジダにおけるSAP2、EFG1、CPH1、HWP1、TUP1、NRG1およびRFG1のmRNA発現レベルは唾液の影響をほとんど受けなかった。 【まとめ】以上より、C.albicansの病原性は遺伝子型によって規定されているのではなく、唾液等の環境因子によって規定されるのではないかと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
得られた結果はNegative dataではあるものの、当初の研究計画に沿った研究を実施することができていることより、おおむね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
以下の検討を行う。 1)カンジダの病原性に及ぼす免疫担当細胞の影響:カンジダを健常人より分離した末梢血好中球あるいは単核球と混合培養し(直接コンタクトさせ培養する系とミロポアフィルターを介して非接触状態で培養する系の両者で行う)、その後、カンジダの病原性を検討する。 2)カンジダの病原性に及ぼす口腔粘膜上皮細胞の影響:カンジダを健常人より分離した口腔粘膜上皮細胞と共培養し(直接コンタクトさせ培養する系とミロポアフィルターを介して非接触状態で培養する系の両者で行う)、その後、カンジダの病原性を検討する。 3)抗菌ペプチドのカンジダの病原性に及ぼす影響:各種のカンジダを抗菌ペプチド(Peptide 2およびHistatin 5)で処理し、カンジダの病原性に及ぼす影響を検討する。 4)抗菌ペプチドの安全性薬理試験・薬物動態試験・毒性試験 5)抗菌ペプチドの免疫毒性試験・生殖・発生毒性試験 6)抗菌ペプチドの遺伝毒性試験・癌原性試験・局所刺激性試験
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