研究課題
口腔常在菌として存在するカンジダがどのような機序で病原性を獲得するかについては十分には明らかにされていないが、口腔内に存在するカンジダが病原性を獲得するためには口腔内の種々の因子が関与していると考えられる。そこで、カンジダの病原性に及ぼす好中球、口腔粘膜上皮からの液性因子等の影響を明らかにするとともに、我々が開発したラクトフェリン由来抗菌ペプチド(Peptide 2)のカンジダの病原性獲得に及ぼす影響および安全性を検討した。1.カンジダを健常人より分離した末梢血好中球と非接触状態で共培養すると、カンジダの増殖および菌糸形成が抑制された。2.カンジダを健常人より分離した口腔粘膜上皮細胞と非接触状態で共培養した時のカンジダの増殖および菌糸形成は、いずれもカンジダ単独培養と同程度であった。3.口腔カンジダ症患者より分離したカンジダを各濃度のPeptide 2 およびHistatin 5で処理したところ、いずれのカンジダも両抗菌ペプチド濃度依存的に増殖ならびに菌糸形成が抑制された。4.カンジダの増殖を抑制する低濃度のPeptide 2で株化口腔扁平上皮癌細胞(OSC細胞)あるいは健常人より分離した口腔粘膜上皮細胞を処理しても、これらの細胞の増殖は抑制されなかった。以上より、口腔のカンジダの増殖は主に唾液中の好中球によって制御されているとともに、その制御に対する抗菌ペプチドの有用性が明らかとなった。
24年度が最終年度であるため、記入しない。