HBO(高気圧酸素環境)、HBA(高気圧環境)およびHCO(高濃度酸素環境)の骨再生への影響について解析を行った。 《in vitro》1)RAW264.7細胞の増加能は、HBO群、HCOの20分刺激群にて刺激回数が多くなると増加傾向がみられ、HBAの20分刺激群で抑制する傾向を示した。2)分化能については、各群において単回刺激により分化を促進した後に、刺激回数が多くなると抑制傾向が示された。3)mRNA発現において、コントロールと比較して2倍以上の発現量を示すものと、半分以下に抑制されているものに対して解析した結果、RANK とC-FMSはHBOで増加がみられ、HBAでは抑制されていた。NFATc1とc-Fos、TNF-αはHBOで増加と抑制がともにみられ、HBAでは増加した。TRAPはHBOで増加と抑制がともにみられた。HCOにおいては、各mRNAに条件を満たすものはなかった。4)RAW264.7細胞のタンパク質発現は、c-Fosはreal time PCRの結果と同様の傾向を示したが、NFATc1に関してはreal time PCRの結果と反する傾向を示した。以上により、各刺激は異なる作用機序で骨再生に関与することが考えられた。 《in vivo》1)術後5日目のH-E染色において、HBO群、HCO群、コントロール群に仮骨の形成がみられたものの、HBA群ではみられなかった。2)%BV/TVにおいて、骨再生初期ではHBOとHCOが骨再生を促進しており、特に5日目までのHCOでの骨再生促進がHBOと比較しても突出して高かったが、11日目以降HCOは抑制的に作用した。HBAは骨再生を抑制する方向に作用した。以上により、骨再生初期では高濃度酸素刺激が骨再生を促進し、高気圧刺激は逆に抑制する方向に作用することが示され、高濃度酸素環境が骨再生の開始時に大きく影響を与える可能性が示唆された。
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