研究課題/領域番号 |
22592223
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
山下 佳雄 佐賀大学, 医学部, 准教授 (50322300)
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研究分担者 |
後藤 昌昭 佐賀大学, 医学部, 教授 (10145211)
野口 信宏 佐賀大学, 医学部, 講師 (40284658)
壇上 敦 佐賀大学, 医学部, 助教 (80452712)
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キーワード | 間葉系幹細胞 / 口唇口蓋裂 / 再生医療 / 成長因子 |
研究概要 |
・唇顎口蓋裂の初回手術(口唇形成術;生後3ヶ月)の際に採取できる皮膚、粘膜組織の中に未分化な細胞(間葉系幹細胞)の存在が確認できた。具体的には、採取した組織より培養できた接着性細胞をクローニングし、Osteogenic assayやAdepogenic assayなど試みたところ、骨芽細胞、脂肪細胞へと分化が可能な細胞株が樹立できた。この樹立した未分化な細胞は凍結保存した後も、その増殖能ならびに分化能を維持していた。つまり将来予定されている手術の際にも再利用できることが判明した。しかし現在、再生領域で幅広く活用されている骨髄幹細胞や、最近注目されている歯髄幹細胞と比較検討したところ、幹細胞の得られる確率は低く、また骨産能に関してもやや劣る傾向にあった。この点に関しては、症例数を増やし確認する必要がある。 ・樹立した幹細胞の骨分化、骨造成能を誘導する液性因子の解析に関してはIGF-1(Insulin-likegrowthfactor1)ならびにシスタチンCが有望であることを示した。このことはin vitro、ならびに研究代表者が確立した免疫不全マウス(NOD/scid)の皮下移植による実験系の両者において証明が可能であった。現在、その他の液性因子に関しても検討中である。 ・scaflbldの開発に関しては、現在、医療廃棄物となっているヒトの抜去歯牙(特に智歯)を高温焼却し無機質化したものをscaffoldとして使用することで、骨再生が誘導できることをin vitro、in vivo両面から証明した。このことは抜去した歯から再生治療に必要な幹細胞とscaffoldの材料を一度に入手できる可能性を示した。 ・「研究実施計画」に上がっていた、その他の項目に関しては、現在、実験を進行中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究に使用する細胞(組織)は当院で加療する唇顎口蓋裂患者のため、サンプル数に限界がある。また場合によっては切除標本が手に入っても、コンタミネーションといったことで細胞株を樹立できないケースもあった。これらのことから、やや実験計画に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
1.実際に得られた幹細胞が生体内で骨産生が可能で、骨欠損部を閉鎖する能力があるか、動物実験にて検証する。IGF-1やシスタチンCの適正使用にかんしても具体的に検討を進める。 2.血清フリー培養液での培養では細胞増殖能や分化能が減少することが判明した。よって今後は患者自身の血清を用いた培養系の構築を検討する。 サンプル入手が困難な問題点に関しては、近隣の大学病院等にサンプル提供を依頼することも検討する。
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