研究課題/領域番号 |
22592230
|
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
近藤 壽郎 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (70178416)
|
研究分担者 |
小倉 直美 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (10152448)
阿久津 美和 日本大学, 松戸歯学部, 助教 (10523524)
伊藤 耕 日本大学, 松戸歯学部, 助手 (20419758)
|
キーワード | 顎関節内障 / microRNA / interleukin-1 / tumor necrosis factor / 滑膜細胞 / microRNA標的遺伝子 |
研究概要 |
約20塩基のnon-cordingRNAであるmicro RNAは、相補性を有するmRNAに結合して転写や翻訳を制御し、多様な病態形成にも関与するといわれている。本申請では、顎関節の炎症病態形成関連遺伝子の検索を目的として、ヒト顎関節由来滑膜細胞(滑膜細胞)をIL-1βまたはTNF-αで刺激した時に発現変動するmicroRNA(miRNA)と、その標的遺伝子を検索した。【方法】本実験には、本学倫理委員会の指針に従い、顎関節内障患者の滑膜から滑膜細胞を得た。IL-1βまたはTNF-α刺激滑膜細胞と無刺激滑膜細胞からAGPC法を用いてtotal RNAを抽出した。miRNA発現量はmiRXplore microarray、mRNA発現量はAffimetrix HG-focus Arrayを用いて測定した。遺伝子発現解析はGeneSpringを用いた。miRNAの標的遺伝子はIPA,TargetScan等のデータベースを用いて検索した。【結果】約800のヒトmature miRNAの発現量について調べたところ、IL-1β刺激により2倍以上発現変動したのは7 miRNA、TNF-αにより2倍以上発現変動したのは41miRNAであった。発現変動したmiRNAをIPAへuploadし、miRNAターゲット候補遺伝子を検索した後、実験的に検証されているターゲット遺伝子を抽出した。このターゲット遺伝子をGene Springにimportし、滑膜細胞でIL-1βまたはTNF-αによって発現変動しているかmicro array解析と比較した。その結果、PTGS2とLIFが認められ、この2遺伝子は複数のmicroRNAのターゲット候補遺伝子であった。【結論】滑膜細胞は、IL-1β、TNF-αによりmicro RNAの発現が変動し、mRNAの発現を制御している可能性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
IL-1βまたはTNF-α刺激顎関節滑膜細胞のmiRNA microarray解析を行い、IL-1βまたはTNF-αで発現変動するmiRNA検索は終了している。また、発現変動したmiRNAの標的候補遺伝子の検索、標的候補遺伝子が実際にIL-1βまたはTNF-α刺激顎関節滑膜細胞で発現変動しているかの検索も行っている。
|
今後の研究の推進方策 |
今後、IL-1βまたはTNF-α刺激顎関節滑膜細胞で発現変動したmiRNAを滑膜細胞に遺伝子導入し、標的候補遺伝子の遺伝子発現やタンパク質産生が変動するかを調べ、miRNAが顎関節炎症病態へのどのように関与しているのかを検討する。
|