研究課題
近年、癌を形成する細胞の中に少数ではあるが、幹細胞の性質を有する癌幹細胞が存在することが明らかになった。癌幹細胞は正常幹細胞と同様に自己複製能および多分化能を有する。癌の分化・増殖が引き起こされ、やがて腫瘍が形成される。化学療法や放射線療法によって腫瘍が縮小しても、癌幹細胞は抗癌剤および放射線に耐性を有しているため生き残り、再び癌の分化・増殖が引き起こされ、再発・転移の原因になっている。口腔扁平上皮癌(OSCC)においても、一標本中に組織学的な多様性が見られることが多い。高分化OSCCと診断されても、部分的に中分化あるいは低分化のOSCCが混在することが多い。また、抗癌剤感受性も同一癌内で感受性の高い細胞と低い細胞が混在している。以上から、癌の発生、進展、再発、転移に癌幹細胞が深く関与していると考えられている。そこで本研究は、癌幹細胞の関連分子の発現を解析することにより、OSCCにおける発癌・進展・再発・転移に関する分子機構の解明と、癌幹細胞関連分子群の診断マーカーとしての有用性について検討した。具体的には、外科的に切除されたヒトOSCC試料および非癌部試料を用いて、ヒトOSCCにおいて特異的に発現している遺伝子群を網羅的に解析した。そのうち、特に癌幹細胞関連分子群に注目した。マイクロアレイについては、カスタムアレイを使用した。そして、われわれは、OSCCにおいて癌幹細胞の重要な関連遺伝子として知られるBmi-1とHMGA-2が、RNAと蛋白レベルで高発現していることを見出した。Bmi-1、とHMGA-2に注目し、これら分子の蛋白およびRNAレベルでの発現の検討、病理学的評価を行った。その結果、OSCCにおいて、Bmi-1が発癌初期に関連し、HMGA-2が腫瘍の浸潤に関連していることを解明した。とくに、HMGA-2の高発現が患者の予後に関わっていることを見出した。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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