研究課題/領域番号 |
22592254
|
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
奥原 滋 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 非常勤講師 (10451973)
|
研究分担者 |
佐藤 豊 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (90361716)
井関 祥子 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (80251544)
|
キーワード | ソニック:ヘッジホッグ / 口蓋裂 |
研究概要 |
sonic hedgehog(Shh)のエンハンサー領域のひとつで哺乳類から魚類までよく保存されている配列であるMFCS4は、咽頭領域の発生期に特異的なエンハンサー活性を示す。MFCS4ホモ欠失マウスでは約16%、MFCS4とShhの複合ヘテロ欠失マウスでは100%の頻度で口蓋裂が発生する。このマウスについて、組織学的な観察、in situ hybridization、口蓋原基を含む上顎の器官培養を行った結果から、このマウスでは舌の発達に異常があり、それが主たる原因で口蓋裂になることが判った。このことを踏まえ、ヒトMFCS4配列の変異と口蓋裂に相関があるかを引き続き調べた。本学倫理委員会承認のもと、口蓋裂患者からヒトゲノム試料を150検体以上得て配列を比較し、MFCS4の遺伝子配列を読み取った。比較対象として口蓋裂でない提供者からのヒトゲノム試料とデータベース上に報告されている遺伝子配列を用いた。その結果、新規の数十の一塩基多型をヒトMFCS4配列のうちに発見し、口蓋裂を持つヒト個体にのみ見られる多型を複数発見したが、これまでのところ統計学的に有意に口蓋裂をと相関を持つ変異を得るには至っていない。今後は全長1.3kbのMFCS4の中で、機能を持つと推測される配列と多型の重なる部分を中心に機能解析を進めてゆく予定である。特に、他の器官発生に役割のあることが多いいくつかのシグナリングに関与する分子はMFCS4の中に結合配列を持つので、これらの発現やin vivoでのMFCS4との結合について分子生物学的な手法を用いて検討をしている。並行して、上記複合ヘテロ欠失マウスにおけるShhの発現の詳細な検討や、未検討のものを含む他の表現型についても解析し、機能解析との整合性が得られるか、裏付けとなり得るかを考察する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
MFCS4配列に結合する可能性のある分子について、その絞込みと検討方法をすでに決定しており、今年度中に本計画全体の目標を達成できる見込みが立っているので
|
今後の研究の推進方策 |
MFCS4の配列内に結合配列をもつシグナル分子の発現とMFCS4の活性との重なりを検討することで、MFCS4の活性を正負に制御する分子を遺伝子改変マウスを用いて同定する。ヒトMFCS4配列と口蓋裂の発症との相関についても継続して行う。これらマウスとヒトでの結果を比較検討することでMFCS4配列のマウスおよびヒトでの機能を検討する。
|